2006年3月5日(日)「しんぶん赤旗」
原発制御棒ひび多発
交換寿命 企業任せ
東京電力福島第一原発6号機など複数の原発の制御棒にひびが多発している問題で、制御棒の交換寿命について国の規定がなく、電力会社まかせになっていることがわかりました。制御棒は、原発のブレーキともいうべき装置です。原子力の専門家からは「ひび割れや破損によって、制御棒が駆動できなくなる可能性も否定できない」という声があがっています。
ひびの原因は調査中ですが、原発の運転中に制御棒が浴びた中性子の量が関係しているとみられています。制御棒の交換の目安としている中性子照射量の基準は、電力会社によってまちまちです。なかには、今回ひびが見つかった制御棒の二倍程度の中性子照射量を交換の目安にしていた電力会社もありました。
ひびが多発しているのは、東芝製の「ハフニウム板型制御棒」。経済産業省原子力安全・保安院の調査(三月三日現在)によると、これまでに六基の原発から、使用中の制御棒十一本と使用済み制御棒三十二本でひびが見つかっています。制御棒の“背骨”にあたる構造部材を貫通するひびや、ステンレス製のカバーがめくれてはがれ落ちている例もありました。
同型の制御棒を使用している原発には、プルトニウムを燃料に使用するプルサーマルを計画している原発も含まれています。