2006年3月3日(金)「しんぶん赤旗」

パート消防士の差別は違法

英最高裁判決

他職種での是正に道


 【ロンドン=岡崎衆史】英国の最高裁に相当する上院の上訴委員会は一日、非常勤消防士に常勤消防士と同じ年金や病欠手当を認める判決を出しました。

 同種の労働に従事する非常勤消防士が常勤消防士と比べて差別されているとの非常勤消防士の代表十二人と消防士組合(FBU)の訴えを認めたもの。

 原告側は「六十年間の差別終結に道を開く」として判決を歓迎し、他の職種でも同様の差別是正が行われることに期待を示しました。

 英国では二〇〇〇年七月、「パートタイム労働規則」が施行され、非常勤労働者に常勤労働者と同じ権利が認められたものの、非常勤労働者が同等の常勤労働者を特定する比較の基準が不明確なため差別が横行。裁判では、非常勤消防士の雇用条件が常勤と比較しうるのかどうかが焦点となっていました。

 全英に約一万五千人いる非常勤消防士は、ほかの仕事を持つが、消防署の近くに居住、勤労することが条件とされ、週百二十から最大百六十八時間を待機時間として非常呼集に応じる義務があります。

 原告は、非常勤消防士が常勤と変わらない過酷な条件で働いているにもかかわらず、常勤消防士の年金制度から締め出されていることや病欠手当に格差があることを挙げ、違法と指摘。上訴委員会の判決は、非常勤消防士の雇用が常勤と同じ「種類」の契約に基づくと認め、原告の主張を受け入れました。

 消防士組合のマット・ラック書記長は同日、「六十年間の差別終結に道を開く非常に重要な判決だ」と歓迎。同労組のリチャード・アーサー弁護士は、「この裁判は数多くのパートタイム労働者に影響を与えることになる」とし、判決がさらに多くの非常勤労働者の差別是正につながることを期待すると述べました。


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