2006年3月2日(木)「しんぶん赤旗」
主張
日の丸・君が代
広がる「強制はおかしい」の声
卒業式の季節になりました。子どもたちの成長と前途を祝う心温まる式にしたいと誰もが願います。
しかし、毎年関係者を嫌な気持ちにさせている問題があります。国歌・国旗の強制です。
国歌・国旗が法律で定められていることは、国が公的な場で「国の象徴」として用いることを意味するもので、国民への強制はできません。この原則は、国会答弁でも確認された、民主主義の原則です。
心温まる卒業式に
卒業式についていえば、教職員や保護者、子どもが話し合って「君が代」斉唱をきめた場合でも、歌うかどうかは各自の「内心の自由」に属するもので、強制は許されません。
ところが三年前、東京都教育委員会は、この原則を未曽有のやり方で破りました。「日の丸は壇上正面」など卒業式のやり方を子細に指示する「通達」をだしたのです。生徒の卒業制作を壇上に置くことも禁じられました。大勢の役人が監視にきて、命令に従わない多くの先生が処分されました。生徒は、「君が代」を大きな声で歌わないと担任の先生を処分すると脅されました。
「在校生、教職員が一つになり、卒業生を送り出そうという空気が奪われた」「生徒のための卒業式というよりも、都教委のための卒業式」――高校の教職員組合がまとめた「『日の丸・君が代』黒書」は、強制に直面した先生たちの何千という憤りでうめられています。
強制に一片の道理もありません。都教委をはじめ各地の教育委員会は、強制をきっぱりやめるべきです。
都民と教職員は強制に引き下がりませんでした。
保護者たちは連絡をとりあい、「強制」反対の署名を、一カ月あまりに七千五百筆以上集めました。教職員たちも「君が代・日の丸」への是非をこえて「強制はおかしい」と立ち上がりました。四百一人もの教員が提訴した「日の丸・君が代」強制反対裁判など、裁判闘争も前進しています。
昨年の卒業式では、クラス代表として卒業証書を受け取った生徒が「東京都教育委員会の皆さんにひとつお願いがあります。これ以上、もう先生たちをいじめないでほしい。それだけです」とあいさつし、満場の拍手をあびました。
「君が代」の音量指導までふみこんだ町田市では、広範な市民の抗議が音量測定をやめさせ、今年は市の通知文書から音量指導が削除されました。
人々が求めていることは、卒業生のための感動的な式にしたい、この一点です。
全国の学校関係者が、子どもを真ん中にして、国歌・国旗への立場の違いをこえて、子どもたちのための卒業式へ、力をあわせることに心から期待します。
基本法改悪阻止と共に
強制と並行して、教育基本法「改正」の動きが進んでいることは重大です。
教育基本法は、戦前の軍国主義教育を再び繰り返さないため、権力による教育の「不当な支配」を禁じています。教育基本法「改正」の中心の一つは、それを覆して、政府などが教育に自由に介入できるようにすることです。
基本法「改正」を許せば、東京のような、国歌・国旗の強制という事態が全国に広がりかねません。
日本共産党は、みなさんとともに教育基本法改悪阻止へ、全力をあげます。