2006年3月1日(水)「しんぶん赤旗」
民主党「メール問題」
国民に真相を示す責任
いわゆる「送金メール」問題の真相はなんだったのか―。ライブドアの堀江貴文被告から自民党の武部勤幹事長の二男に三千万円を振り込むよう指示したとされるメールをめぐって、注目されていた民主党の永田寿康衆院議員の記者会見では、結局真相は何も明らかにされませんでした。
裏付け努力せず
永田氏は十六日に衆院予算委員会で質問した際には、「個人的な確信を持って取り上げた」とのべました。しかし、その根拠は、(1)「仲介者」に全幅の信頼を寄せていた(2)「仲介者」の説明では「情報提供者」がライブドアに関係する人で、送金にもかかわっていたと聞いた(3)「仲介者」から銀行口座情報を提供された―ということのみです。
永田氏は記者会見で認めたように、肝心の「情報提供者」にも会っていませんでした。メールの信ぴょう性を裏付ける送信者・受信者についても黒く塗りつぶされたまま「仲介者」から手渡されていました。要するに「仲介者」の説明をうのみにしたということです。
こうした不確かな情報を、国会の場で取り上げるなどということは、野党の質問としてあってはならないことです。相手がだれであれ、疑惑を追及するのなら、間違いのない材料・資料で行うのが野党の追及のあり方として当然です。
しかも、民主党は党としてもメールの信ぴょう性を裏付ける独自の調査をした形跡はまったくありません。永田氏の報告を受けた野田佳彦国対委員長が「裏付け」をとるよう指示しただけ。「仲介者」との対応は永田氏個人まかせでした。
にもかかわらず、前原誠司代表は「なかなか確度の高い情報だ」(十六日)、「資金提供が武部氏の二男になされたのではないかという確証をもっている」(二十二日)などと断定してきました。その責任は重大です。
真偽解明努力は
永田氏の質問直後から、メールの信ぴょう性については疑問が出され、民主党は反論できない状況に追い込まれていました。
ところが、永田氏らの記者会見では、メールの信ぴょう性が問題になって以後も、永田氏自身も、民主党としても、真相解明のまともな努力はなされていなかったことが浮き彫りになりました。
問題発覚後も、永田氏がおこなったのは、もっぱら「仲介者」との「交渉」だけ。民主党は、「仲介者」との対応は永田氏まかせでした。送信者と受信者が同一ではないかという事実が発覚しても、永田氏が「四、五日前」に「仲介者」と会い、「すべて真実だ」と説明を受けたとしています。
永田氏は事後も「情報提供者」には会っておらず、「情報提供者」がいるのかいないのかもあいまいなままです。
永田氏は会見で「全くの事実無根であるのか、一定程度の事実を含んだものか、調査が残っている」とメールの真偽についてあいまいな態度をとりつづけました。その後、党声明で(メールは)「ホンモノではないと判断するに至った」とようやく表明しました。国民が求めているのはなぜ「ホンモノではない」メールで質問するに至ったのかを含めた、事の真相です。決してうやむやに終わらせることは許されません。(藤田健)