2006年2月25日(土)「しんぶん赤旗」
同一労働のパートと正社員
同一賃金わずか1割
正社員と同じ仕事をするパート労働者に同じ賃金(基本給)を払っている事業所が一割程度しかないことが21世紀職業財団の実態調査(昨年九月一日時点)でわかりました。従業員五人以上の事業所一万三千カ所を対象にアンケートを試みましたが、回答したのは二千八百二十一カ所と、わずか二割でした。
事業所実態調査
仕事の内容や責任が正社員と同じ「正社員的パート」の基本給の決め方が「同じ」と答えた事業所は11・6%。「正社員と同じパートはいない」と答えた事業所が39・8%、「ほとんど、または一部のパートは正社員と異なる」が29・4%でした。
賃金水準については「ほぼ同額」とした事業所は14・5%。28・4%の事業所が七割以下と答えました。回答しなかった企業が多かったことを考えると、実際の格差はさらに大きいとみられます。
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仕事同じなのに
労働者を対象にした調査(回答四千三百四十七人)では、「賃金が低いと感じたことがあり納得できない」と答えた人の81・4%が「正社員と同じ仕事をしているのに格差があるから」を理由にあげています。また、49・5%が賞与の違いに「納得できない」と答えており、ボーナスをあわせれば格差はさらに広がります。
「正社員と同じ仕事をするパートがいる」事業所は35・7%。サービス業では41・5%の事業所でパートを「責任ある地位」につけていると答え、多くのパート労働者が管理職に就いています。その一方、パートから正社員への転換制度がない事業所が51・2%と過半数でした。
健康保険は15%
「社会保険にすべてのパートを加入させているか」については雇用保険46・4%、健康保険15・9%、厚生年金15・8%でした。
同財団は政府に協力して女性、パートタイム労働者の待遇均等化を支援する団体。この調査は、厚生労働省が二〇〇三年に「改正」したパートタイム労働指針の実施状況を調べるため、同省の交付金事業として行われました。
全国労働組合総連合パート臨時労組連絡会の井筒百子事務局長は「基本給だけでなく年収で比べれば賃金格差はこの程度ではない」としつつ、「この調査でも格差が是正されていないことが示されている。指針や現行法で改善されないことが明らかなのだから、均等待遇を義務づける法律を制定して指導を強化しなければならない」と語っています。
共産党の総選挙政策から
均等待遇のルールを確立し、男女間格差、パートや派遣と正社員との格差をなくす
パート労働者の賃金は正社員の50・3%、女性正社員の賃金は男性正社員の64・9%、女性パートの賃金はその女性正社員の65・7%にすぎません。日本共産党は賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件の均等待遇と正社員への拡大をめざし、「パート・有期労働者均等待遇法」「派遣労働者法」を提案しています。
パートタイム労働指針 一九九三年に制定されたパート労働法にもとづいて事業主がすべきことを示した厚生労働省の指針。パート労働者の待遇について「就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮すべきである」としています。労働時間が正社員とほとんど同じパート労働者については「通常の労働者としてふさわしい待遇をするよう努める」としています。法的な強制力はありません。