2006年2月25日(土)「しんぶん赤旗」
イラク・聖廟爆破後の衝突
死者140人以上に
【カイロ=小泉大介】イラク中部サマラのイスラム教シーア派聖廟(せいびょう)が二十二日に爆破されて以降、首都バグダッドなどで続発した武力衝突・攻撃の死者は二十三日夜までに百四十人以上に達しました。宗派間対立の激化は、正式政府樹立に向けた連立協議にも影響を与えています。
報道によれば、死者の多くはイスラム教スンニ派教徒とみられます。バグダッド郊外では二十三日、帰宅中の工場労働者を乗せたバスが武装勢力の襲撃を受け、四十七人が死亡。中部バクバでは警察車両を狙った爆弾攻撃で、市民四人を含む十二人が死亡しました。
スンニ派有力組織イスラム聖職者協会は二十三日、聖廟爆破事件以降、イラク全土で百六十八のスンニ派モスク(礼拝所)が銃撃などの報復攻撃を受け、聖職者十人が死亡、十五人が拉致されたと発表しました。
イラク移行政府のタラバニ大統領は二十三日、事態収拾に向けた緊急の各派指導部会議を開催。出席者は口々に「内戦ぼっ発」への懸念を表明したといいます。スンニ派指導部は、自派住民への攻撃阻止に政府が有効な措置を取らなかったことへの反発から参加しませんでした。
スンニ派政党連合「イラク合意戦線」幹部のハシミ氏は同日、「われわれはシーア派との連立協議への参加を停止する」とのべ、正式政府樹立協議そのものへの不信感も表明しました。