2006年2月25日(土)「しんぶん赤旗」
主張
3・1ビキニデー
核兵器廃絶へさらに運動を
一九五四年三月一日、アメリカは西太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁で、広島原爆の千倍という威力の水爆実験をおこないました。現地住民や第五福竜丸乗組員などに深刻な被害を与え、広島・長崎の惨禍ともあいまって、思想・信条の違いをこえた国民的な原水爆禁止運動を生み出す契機となりました。
反響よぶ新しい国際署名
原水爆禁止のねがいは、いま核兵器廃絶を求める世界の声となっています。しかし今なお膨大な核兵器が人類の生存を脅かしています。とりわけ核超大国アメリカは、むしろ核兵器への固執を強めています。
その事態を何とか変えようと、日本原水協の提唱で年頭から始まったのが、新しい国際署名「すみやかな核兵器の廃絶のために」です。政府関係者を含め、世界からも、国内からも、これまでのどの署名にも見られなかったような広範で迅速な賛同が寄せられています。
昨年は、核保有国も合意した核兵器廃絶の「明確な約束」の実行を求め、多彩な行動が展開されました。しかし米ブッシュ政権の妨害で、五月の核不拡散条約再検討会議も九月の国連サミットも、核軍縮問題では何の進展もありませんでした。十月の国連総会第一委員会では、メキシコ、カナダなど六カ国が、核軍縮の議論を前進させるため新たな決議案を準備しましたが、アメリカの圧力で見送られました。
こうした事態の根源には、アメリカの危険きわまりない行動と政策があります。イラク戦争のウソと破たんをブッシュ大統領自身も認めざるをえない状況に追い込まれながら、なおテロや大量破壊兵器拡散の脅威などを口実にした先制攻撃と一方的な核攻撃の戦略をとりつづけています。核兵器と通常兵器を組み合わせた戦争計画や体制づくり、新型核兵器の開発を進め、核兵器使用の危険を強めています。
イランの核開発が大きな問題になっていますが、アメリカは気に入らない国には原発開発の権利さえ制限する一方、自らは廃絶の合意の実行を拒否し、強力な核戦力の維持、近代化を進めているのです。その危険で道理のないやり方に、ますます批判は高まり、孤立を深めるばかりです。
核兵器廃絶こそ、拡散問題の根本的な解決の道という声もひろがっています。新しい署名は、アメリカの危険な動きを封じ、核兵器のない世界への確かな道を開かせようというねがいを大合流させるものです。
原水爆禁止運動はこの間、諸国民の運動を基礎に、政府、自治体などとの共同を前進させ、またイラク反戦やアメリカ主導のグローバリゼーションの弊害とたたかう運動とも連帯を築いてきました。これらの到達の上に、アメリカの横暴を許さない世界の広範な勢力の共同と行動を、いっそう強力に発展させることが期待されます。
被爆国の運動の役割
核兵器廃絶の運動は、人類の生存をかけた、もっとも広範な国際共同行動です。それだけに被爆国の運動の役割はいっそう重要です。
全国の署名行動では、成人式の会場前で、自衛隊員の青年一人を除きみな署名してくれたなど、大きな共感をえています。憲法改悪や米軍基地の再編強化など、平和をめぐる重大な課題が山積しています。
このもとで、アメリカの危険な世界戦略と正面から対決する核兵器廃絶の運動は、平和のたたかい全体を推進する力ともなるでしょう。