2006年2月23日(木)「しんぶん赤旗」
混迷イラク
爆弾攻撃の死者急増
治安関係ポスト争い
【カイロ=小泉大介】国民議会選挙の最終議席が確定し正式政府樹立に踏み出したイラクが混乱を深めています。各政治勢力の統一を訴える米英両国に移行政府首脳が反発する事態も生まれるなかで、各都市では武装勢力の攻撃も続き、二十、二十一の両日だけで五十人以上が死亡するなど犠牲者も急増しています。
最大会派となったシーア派政党連合「統一イラク同盟」(総議席二百七十五中百二十八議席)は十二日に首相候補に現移行政府首相のジャファリ氏を擁立しました。これにより連立協議が本格化するかにみえました。
しかし、クルド人やイスラム教スンニ派、さらに世俗派との間で基本政策をめぐる対立が根深く、シーア派内部でも足並みの乱れが表面化しています。とくに、シーア派の牙城で宗派間対立の「震源地」とされる内務省など、治安関係の閣僚ポストをめぐる争いが激化しています。
米国のハリルザド駐イラク大使は二十日、移行政府首脳に内務省や国防省、国家情報省などの閣僚は宗派に属さず、民兵組織とも関係のない者を起用すべきだと要求しました。二十一日にイラクを訪問した英国のストロー外相も、「いかなる民族、宗派グループも政府を独占することはできない」と訴えました。
しかし、ジャファリ首相は「閣僚の任命や政治方針の決定はイラクの内政に属する。決定するのはイラクの政治家だ」と反発しました。
こうした中で、武装勢力の活動も激化。首都バグダッド南西部ドーラ地区のイスラム教シーア派教徒が多く住む地域の市場では二十一日夕方、自動車爆弾が爆発し、現地からの報道によると、住民二十二人が死亡、約三十人が負傷しました。同日にはバグダッドとその周辺で発生した爆弾攻撃や銃撃で八人が死亡、三十人以上が負傷しました。
爆弾攻撃は二十日にもバグダッドと北部モスルなどで起き、合わせて二十三人が死亡しています。今年に入ってからの武装勢力の攻撃によるイラク人死者は一千人近くに達しました。