2006年2月22日(水)「しんぶん赤旗」
裏金疑惑の伊藤元長官
「黙って金集めて」
一問一答 政治団体元幹部の証言
「君は黙って金を集めてくればいい」。裏金処理をやめるよう進言した政治団体元幹部に自民党の伊藤公介元国土庁長官はこう言い放ったといいます。一面所報の元幹部が本紙に語った詳細を紹介します。
――西多摩夏冬会とは、どういう団体か。
元幹部 伊藤元長官を支援する東京西多摩地区の会社経営者らでつくる政治団体だ。一九九〇年に結成された。小選挙区制に移行した時に一度解散したが、伊藤氏の要請で再結成された。最高時は百三十人くらいの会員がいた。会員一人当たり月一万円の会費を集め、寄付金などとして伊藤氏に渡していた。
どのように金渡したか
――どんな活動をしていたのか。
元幹部 主に親ぼく会。年一回「伊藤公介杯」というゴルフコンペを開いていた。
――金はどのように渡したのか。
元幹部 七十万、百万円などと会費が一定のまとまった額になると、伊藤氏の都合にあわせて衆院議員会館の事務所に私が持っていった。ほとんどの場合、本人に直接渡した。伊藤氏は茶封筒に入れた現金を受け取ると、中身も見ずにかばんに入れる時が多く、領収書は秘書からもらった。
――正しい処理をするよう伊藤氏側に求めたのか。
元幹部 二〇〇一年ごろ、伊藤氏側が政治資金収支報告書に夏冬会の寄付を記載していなかったことについて、ちゃんとしてくれるよう進言した。しかし伊藤氏は、「公友会できちんと処理しているから大丈夫だ」「君は黙って金を集めてくればいいのだ」と言うばかりだった。
伊藤氏から圧力などは
――伊藤氏側は献金について調査中などといっているが。
元幹部 手元に東京公友会と自民党東京都第二十三選挙区支部が発行した千七百六十四万円分の領収書がある。そのほか、議員会館に金を持参した時の首都高速道路の領収書など全部保存してある。ゴルフの時の食事代などの領収書もある。
――伊藤氏側から圧力などはなかったのか。
元幹部 昨年の十二月、夏冬会の別の幹部のところに伊藤氏が「領収書はどこにあるのか」などと電話をしてきた。電話をうけた元幹部は怖かったといっていた。携帯に着信記録も残っている。
その次の日には、伊藤氏と関係の深い有力市議が、「その領収書を買いたい。いくらだ」と私に電話してきた。とんでもない話で、もちろん私は断った。同時に、公表するしかないと感じた。