2006年2月21日(火)「しんぶん赤旗」
強まる道州制導入論
地制調が28日に答申
首相の諮問機関である地方制度調査会(会長・諸井虔太平洋セメント相談役)は、「道州制の導入が適当」とする答申案をまとめ、二十八日の総会で決めたのち、小泉純一郎首相に答申する予定です。
道州制は、現在の四十七都道府県を廃止し、全国を十程度の「道」「州」に再編、市町村との二層制にしようというものです。十六日の同会専門小委員会がまとめた答申案では、区域案として九、十一、十三地域に分ける三案を盛り込みました。また答申案では、国の役割を外交、防衛、通商などに限定。国が道州へ移す主な権限として、国道の管理、一級河川の管理などを挙げています。
道州制が導入されれば、いまでも縁遠いといわれる都道府県が広域化することで、地方行政がますます遠い存在になってしまいます。
市町村合併と一体での推進
重大なことは、道州制の導入が市町村の大再編と一体のものとして進められていることです。
いわゆる「平成の大合併」によって、全国の市町村数は約三千二百から今年三月末には千八百二十一まで約四割減りますが、政府はさらに大幅な再編の動きを求めています。「道州制のモデル」として「道州制特区構想」が持ち上がっている北海道の高橋はるみ知事は、道内百八十市町村を二十一市にする考えを示しました。埼玉県の市町村合併推進審議会は県内七十一市町村を十二市に再編する案を決めました。
いずれの場合も、市町村の大幅な再編の理由に、道州制の議論をみすえてのことです。
一方で、兵庫県の井戸敏三知事のように、「今以上に大きな道州が自治体であるといわれても実感がわかない」「現在進められている以上に性急な(市町村)合併が住民の支持を得られるのかどうか」として「異議を唱え続けたい」(「朝日」十日付)と表明する知事もいます。
大型開発目的 財界が要求
道州制や市町村合併は、もともと財界の強い要望でした。
一九八九年、経団連は、都道府県制について「国民や企業の活動範囲が全国的に広がってくることを考えると、行政単位としてはいかにも狭小に過ぎる」とその再編を提言しました。
道州制を財界の戦略として明確に位置付けたのは、日本経団連が発足した直後に発表した「活力と魅力溢れる日本をめざして」(二〇〇三年一月、いわゆる「奥田ビジョン」)です。「『州制』を導入する」と打ち出し、「社会資本整備や地域の環境対策などの内政分野については、各地域の州政府(全国で五〜十)、ならびに現在より広域的な自治体(三百程度)の所管とします」と明記しました。
また政府の経済財政諮問会議の専門調査会が〇五年四月にまとめた「日本二十一世紀ビジョン」では、「道州制の実現・人口三十万人規模の基礎自治体」を目標に掲げました。
福祉やくらしを担う自治体を減らすことで、財政規模を大幅に縮減し、同時に、財界の望む大型プロジェクトをすすめやすくする――道州制に込められた狙いです。
日本共産党は、道州制や市町村合併おしつけ、地方行革などについて、「地方政治への攻撃が、住民福祉の機関という地方自治体の存在意義そのものを否定するもの」(第二十四回党大会決議)ときびしく批判しています。