2006年2月20日(月)「しんぶん赤旗」
社会の理解が課題
ひきこもり支援を討論
全国交流会
和歌山市
和歌山市で開かれている第一回社会的ひきこもり支援全国実践交流会の二日目となる十九日、全国の実践例とともに、ひきこもりへの社会的な理解の低さや財政などの基盤整備の遅れが課題とし話し合われました。
家族のための分科会で、岡山県精神保健福祉センターの石田由美子さん(臨床心理士)は、家族だけで対応しようとしたため、問題が長期・複雑化してから保健所や精神科を訪れるケースが多く、家庭崩壊を招いていることもあると指摘しました。
同県単独の事業として二〇〇二年度から始まった「ひきこもりサポーター育成事業」は、専門研修をへた、ひきこもり経験者などの有償ボランティアが、ひきこもりの当事者と専門家の橋渡しを行っていると紹介しました。
岩手県の青少年自立支援センター「ポランの広場」事務局長の藤田健さんは、ボランティア希望者のための講座に定員の倍ちかくの人が集まるなど、子どもたちのために力をかしたいという人が増えていると話しました。一方で、施設の維持費にも困るほど財政が逼迫(ひっぱく)しているのが「全国共通の悩み」と訴えました。
おわりの会で、立命館大学の高垣忠一郎教授は「ゆっくりと焦らないで回復できる支援体制をつくることが大切」とのべ、文化学習協同センターの佐藤洋作代表は、「ニート」という言葉を使い複雑な青少年問題を一元化して見ることの誤りを指摘。「ニートとひきこもりは分けて考え、対策を講じるべきだ」とのべました。