2006年2月19日(日)「しんぶん赤旗」
米グアンタナモ収容所
英閣僚「閉鎖望む」
野党・裁判官も相次ぎ批判
【ロンドン=岡崎衆史】国連人権委員会の独立専門官が十六日に公表した報告書で、キューバのグアンタナモにある米軍の収容所閉鎖を求めたことを受け、米国の欧州最大の同盟国である英国でも、閣僚や野党から収容所閉鎖を要求する声が相次いでいます。
ヘイン北アイルランド相は十六日、BBCテレビで、グアンタナモ収容所について、「ない方が望ましく、閉鎖されるよう希望する」と述べ、それが英政府の立場だと言明しました。
野党・自由民主党のキャンベル党首代行も同日、「系統的な人権侵害は西側の道徳的権威を損ない、長期的に人心をつかむためのたたかいで勝利を困難にしている」と米政府を批判。同党首代行はブレア英首相に書簡を送り、首相が米政府に対しグアンタナモ収容所を閉鎖するよう圧力をかけることを求めました。
ブレア首相は十七日、ベルリンでメルケル独首相と会談した後の記者会見で、収容所について、「例外的なもので、遅かれ早かれ対処すべきだ」と述べました。
一方、ロンドンの高等法院は十六日、グアンタナモに収容されている三人の英国居住者の代理人に対し、ストロー英外相が米政府に三人の釈放要請をするよう促す裁判所命令を請求することを許可しました。
同法院のコリンズ裁判官は「米国が拷問とみなしているものは、たいていの文明国のそれとは異なっているようだ」と指摘。米政府が拷問の定義を変え、実際には拷問をしていながらその存在を否定していることを強く非難しました。