2006年2月17日(金)「しんぶん赤旗」
テレビ・冷蔵庫・オーディオ…4月から
中古家電販売ダメ
リサイクル店「寝耳に水」
「電気用品安全法」で、中古の電気製品の販売が四月一日から禁止されようとしています。これが強行されると、リサイクル店や楽器・オーディオ店、質屋、骨とう品店などが、倒産の危機に――。「これでは商売がやっていけない」と、関係業界に怒りの声が広がっています。また今月に入り、大手リサイクル業者や楽器店などで買い取りを中止するところもでているため、消費者側にも影響がでています。
四月一日から中古製品で販売禁止の対象になるのは、電気便座、電気温水器、自動販売機、テレビ、冷蔵庫、洗濯機や直接交流電源に接続する電子楽器、音響機器、ゲーム機器など二百五十九品目です。
電気用品安全法は、メーカーに、製品が技術基準に適合していることを検査機関や自主検査で確認し、新たな表示(「PSE」マーク)をつけることを義務づけました。
製造・輸入事業者、販売事業者は、新マークがないものについては「販売し、又は販売の目的で陳列してはならない」(同法第二七条)とされています。
全国展開する大手リサイクル業者はいいます。「中古品は対象外という認識だったが、念のため昨年十一月ごろ、経済産業省に照会した。しばらくして中古品も対象になると回答があった」。このため一月後半に、「PSE」マークのない電気製品の「買い取り」中止を店頭に表示。二月十一日からは買い取りをやめたといいます。
この情報が関係業界をかけめぐりました。「一月末に客からいわれて、初めて知った。売れない商品を廃棄すると、何千万円もの損失になる」(大手楽器店)など、衝撃が広がりました。違反して販売すると、一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金が科されます。
冷蔵庫、洗濯機、オーディオ機器などが並べられた東京都内のリサイクル店。店頭にいた店主(40)は「最近になって業界の人から初めて聞いた。PSEマークのない製品は安全じゃないなんていえないでしょう。うちみたいな商売が成り立たないと、ごみが増えるだけですよ。不用になった電気製品はどうするのか。みんな困りますよ」と話します。
中小業者のほとんどは、「寝耳に水」の状態です。全国約二千七百人の会員がいる全国質屋組合連合会も、「(中古電気製品が)取り扱えなくなるのは困る。対応に苦慮している」といいます。
また、フリーマーケットなどでの販売はどうなるのか。経済産業省製品安全課は、「いまのところは『グレーゾーン』」で、検討中だといいます。
▼電気用品安全法 一九九九年に電気用品取締法を改定して成立し、二〇〇一年四月に施行されました。電気製品四百五十品目を対象に、「PSE」という新たな表示を義務づけました。品目ごとに五年・七年・十年の猶予期間が設けられました。期間が過ぎた電気製品は、新たな表示(「PSE」マーク)のないものは販売できなくなり、違反すると罰則が科されます。これは財界の要望に沿った効率優先の規制緩和路線の一環です。