2006年2月12日(日)「しんぶん赤旗」

主張

防衛施設庁官製談合

「天下り」は完全禁止しかない


 防衛施設庁の官製談合事件を契機に、高級官僚の「天下り」規制の強化が焦点になっています。

 小泉首相は事件を受けて、「現在でも在職中の関連企業への(天下り)制限はもうけられている。この制限がよいのか、改善策になにがあるか、よく検討する必要がある」とのべ、自民、公明の与党協議も始まりました。民主党も退職後五年間の天下り禁止を柱とする規制法案を提出しました。業界の側も、日本土木工業協会の葉山莞児会長(大成建設社長)が、「自主規制を検討する」と表明しています。

■腐敗の温床

 防衛施設庁の官製談合では、技術審議官、建設部長らの土木、建設業界への天下りが組織的にあっせんされ、天下りOBの年収の七、八十倍を基準に、各社の天下り受け入れ実績を数値化して、工事を配分していました。業界側にとっては天下りを多く受け入れるほど、安定した受注と高い利益が見込める仕組みです。

 九八年に摘発された防衛庁の調達実施本部の背任・汚職事件で、東京地裁は、天下り先から受け取る報酬は在職中の職務権限行使への「対価」だとして、わいろ性を明確に認め、「国に大きな損害を与えながら、企業に便宜を図ったことにつけこんだ犯行は誠に悪質」と厳しく断罪しました。

 「わいろ」とまでいわれる天下りは文字通り腐敗の温床です。天下りの実態にしっかりメスを入れ、根絶しなければ、事件のほとぼりがさめたとき、また天下りと談合がくりかえされることになります。

 小泉首相は「公務員にも憲法上の職業選択の自由はある」と国会で答弁しましたが、官庁があっせんする天下りを「職業選択の自由」で合理化することはできません。

 首相はまた、公務員の早期退職勧奨制度があるから天下りが必要になるようにもいっています。これもずいぶん逆立ちした話です。

 全公務員の2%にすぎないキャリア官僚(大卒第I種試験合格者)がポストを争い、敗れた同期は早期に退職するようなゆがんだ人事慣行をあらためればすむ話です。

 いま問われているのは高級官僚が在職中の仕事と密接な関連がある営利企業などに再就職し、官製談合などにかつての職務権限を行使することです。こうした天下りは全面禁止するしかありません。

 国家公務員法一〇三条は、営利企業への天下りを退職後の二年間に限って規制しており、これが現在の天下り規制の根拠となっています。しかも、この二年間でも、人事院が承認した高級官僚の天下りは可能です。こうした抜け穴をふさぐことが、いま緊急にもとめられているのです。

 日本共産党は、相次ぐ汚職・疑獄事件を受けて一九九六年に「天下り禁止法案大綱」を発表し、それ以来、くりかえし「天下り禁止法案」を国会に提出してきました。

■腐敗根絶へ、唯一の道

 日本共産党の提案は、天下り制限の対象を特殊法人の役職員まで拡大し、営利企業はもちろん、特殊法人などへの天下りも期限を定めず禁止するというものです。この提案は、あらゆる抜け道をふさぎ、最も徹底した、総合的対策を示したものとして、発表当時から注目されました。

 目的は、天下りが温床になった腐敗を根絶し、真に国民に奉仕する行政を実現することです。腐敗一掃をいうなら、天下り規制の「二年」を「五年」になどといわず、天下りの完全禁止にふみだすべきです。


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