2006年2月11日(土)「しんぶん赤旗」
都教委、メールで指示
「日の丸・君が代」強制 元校長が証言
東京都教育委員会が校長専用メールで細部にわたり指示を出すなど、都立学校の卒業式で「君が代斉唱」時に教職員に起立を命令するよう校長に強制している実態が十日、元校長の証言で明らかになりました。「職務命令は校長の裁量によって出された」とする都教委側の主張の根拠がさらに崩れた形です。
これは、二〇〇四年三月の都立高校の卒業式で起立しなかったことで「職務命令違反」を問われ処分を受けた教師が、都人事委員会に撤回を求めて訴えている事件の審理で明らかになったもの。
十日の審理では、「職務命令」を出した元校長が証人として出席し、「起立の職務命令を出さない裁量はまったくなかった」「(都教委の)措置は事実上の命令で、それ以外のやり方はできなかった」と証言しました。
元校長は〇三年十月二十三日に都教委が卒業式、入学式などの行事の際に「日の丸・君が代」を強制する「実施指針」と通達を出してから、都教委から校長への事細かな指導が専用メールで来るようになったと明らかにしました。起立しない教職員がいた場合の「想定問答」や都教委に出す報告書の「ひな型」が送られ、それに従わなければならなくなった実態を証言。校長連絡会で都教委幹部が「(通達は)戦後の都立高校教育のターニングポイント」と発言したことを紹介しました。
元校長は「教師生活三十八年の最後の最後に『通達』によって断腸の思いで命令を出さざるを得なかった」との胸の内を語りました。そして、「教育にとって本当に大事なことがおろそかにされていることを危ぐする」とし、多くの校長が同じ気持ちを共有しているはずだと述べました。