2006年2月11日(土)「しんぶん赤旗」
高齢者直撃の負担増
医療改悪法案を国会提出
皆保険制度の土台壊す
小泉内閣は十日、医療制度「改革」関連法案を閣議決定し、国会に提出しました。医療費の伸びを抑えるとして、高齢者を中心に国民に新たな「痛み」を押しつけるとともに、公的医療制度を土台から壊す方向に大きく踏み出す改悪です。
改悪案は高齢者を狙い撃ちしています。
「現役並み所得」のある七十歳以上の窓口負担を、ことし十月から現行の二割から三割に引き上げます。二〇〇八年四月からは、七十―七十四歳の「一般所得」者の負担も、現行の一割から二割に引き上げます。
七十歳以上の長期入院患者の居住費・食費の自己負担化、七十五歳以上を対象に新たな「高齢者医療制度」の創設と保険料の取り立て―など、医療を最も必要とする高齢者に「現役世代との公平」を口実に負担増を次々押しつけるものになっています。
改悪案は、中長期の「医療費抑制策」として、国、都道府県が五年ごとに「医療費適正化計画」をつくり、医療費の抑制目標とともに、在院日数短縮などの数値目標を義務づけます。
抑制が「不十分」とされた都道府県には、厚労相が、他と異なる診療報酬を定めることができる仕組みも導入されます。
財界は、▽風邪などの「軽い病気」の医療は保険対象からはずす「保険免責制」導入▽保険がきく医療と、きかない医療を併用し患者を選別する「混合診療」の全面解禁―を要求しています。
今回の医療制度改悪は、「保険証一枚」でかかることができる医療を切り縮める方向に突き進むものです。
文字通り「所得格差が命の格差に直結する」(九日の医療改悪反対集会での日本共産党・志位和夫委員長のあいさつ)大改悪。日本医師会なども「国民皆保険制度を崩すもの」と強く反対しています。
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