2006年2月10日(金)「しんぶん赤旗」

2・9国民集会

命も金次第 医療改悪ええ加減にせえ

新幹線車両借りきり 大阪の患者・医師ら


 九日、さいたま市のさいたまスーパーアリーナで開かれた「許すな医療改悪・大増税! 2・9国民集会」には一万四千人が参加。このなかには新幹線車両をかりきって参加した大阪の民医連関係者三百八十人がいました。(酒井慎太郎)


■車内で紙芝居も

 新大阪駅、午前九時十九分発のひかり406号に三百八十人が乗り込みます。京都駅を過ぎたあたり、堺市の医療法人「同仁会」の百人がのった車両で、医療制度改悪の中身を伝える紙芝居がはじまりました。二十九コマ、約四十分。医療改悪の問題点を克明に伝える内容に、参加者は熱心にメモをとり、集会の予習に励みました。

 大阪市西淀川区の姫島診療所では、集会までに医療改悪に反対する署名を千五百人分集めようと一月から取り組んできました。目標を超え、千五百七十五人分を集めました。大気汚染公害による慢性気管支炎を患う槙(まき)峰(みね)よし子さん(77)は、約百三十人分の署名を集めました。吸入と点滴の治療で、同診療所にほぼ毎日通うために二十分程度乗るバスの中でも乗客に署名を呼びかけ、前日も五人から署名してもらいました。

 「『お金がなく、医療費が上げられたら困る』とみんなが怒り、署名してくれました。その思いを私は背負っています。小泉『改革』は国民いじめ、お年寄りいじめです。腹が立ってたって、煮えくりかえってます」と話しました。

 外科と眼科、内科にかかっている大阪市内の女性(72)は「(医療費の)一割負担でも生活は大変です」。通院の回数を減らしながらも、夫(74)とあわせて医療費は月一万四千円近く。唯一の収入の年金では生活費をまかなえず、医療費と食費を削っても貯金から月四万円近く取り崩します。「(国の姿勢は)年寄りは、いつまでも生きとらんでええ、ということ。通院を減らしていかなんだら、生活がやりくりつかへん」

■「国会動かせる」

 「病院におるだけが医者ではありません」。大阪市にある「コープおおさか病院」の内科医師の青木淳さん(37)は医局から「ぜひ集会に行ってきてくれ」と病院をあげた支援を受け、新幹線に乗りました。

 「腰が痛い」と病院に来た六十代のタクシー乗務員の病状は、手遅れの胃ガンが腰骨にも転移していました。治療のかいなく先日、亡くなりました。「僕らはずっと悔しい思いをしています。『何で早く病院に来んのか』と言うことはできます。しかし、生活の背景に耳を傾けると、病院に来たくても来られへん事例が多い」と顔をくもらせます。

 「あまりにも所得格差があり、金の切れ目が命の切れ目にもなっています。小泉さん、もうええ加減にせえ、と怒りをぶつけたい」といいました。

 看護師になって三年目の村元柳(りゅう)さん(25)はこの日、午前一時ころまで勤務し、三時間の仮眠をとっただけで駆けつけました。経済的理由から、医師に退院を訴える患者などの事例が絶えません。「私一人の訴えでは国会は動かない。でも、多くの人が集まれば何かできる、国会を動かせる」

 集会に参加した一万四千人の一人ひとりの胸に村元さんらと同じ思いがありました。西淀川の槙峰さんは集会後、「同じ思いの人がこんなにも多く集まって感激しました。涙を流すことなく、安心して医療にかかれる国にしていくために、頑張っていきます」と声を弾ませました。

 大阪では四月九日に、保険医協会や大阪労連など五団体の共催で医療制度の改悪などに反対する一万人規模の集会を予定しています。


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