2006年2月10日(金)「しんぶん赤旗」

正規雇用増えたというが

昨年1年では非正規が上回る

比較可能は2カ月だけ


■就職件数の統計

 「少しずつ正規雇用が増え始めた」?―川崎二郎厚労相が七日の衆院予算委員会でもちだした「就職件数」の統計にはいくつものからくりがあります。統計を詳しく見れば、簡単に正社員が増えているとは言えません。

 就職件数とは全国のハローワーク(公共職業安定所)を通じた就職人数のこと。川崎厚労相は二〇〇五年十一、十二両月の就職件数をあげ、前年同月比で正社員が増え非正規雇用が減っていると強調しました。

 ところが正社員と非正規を分けて統計をとりはじめたのが〇四年十一月からなので、前年と比較できるのは〇五年十一、十二月の二カ月しかありません。

 労働行政の専門家は「そもそも二カ月分だけでは統計とはいえないと思います。国会で出せる数字なのでしょうか。しかも、ここでいう正社員は四カ月以上の雇用というだけで、求人側の呼び方次第で六カ月の雇用でも『正社員』に入ってしまう問題があります」と疑問を投げかけます。

 同じハローワークの統計でも新規求人の構成比を見ると、〇五年十一月、十二月とも前年同月比で正社員は0・6ポイント減り非正規がその分増えています。正社員を不安定雇用におきかえる動きが止まったとは、とうていいえないのです。

 そもそも〇五年一年間の就職件数は、非正規雇用が百十一万件で、正社員の百二万件を上回ります。川崎厚労相も「一九九七年をピークに正社員が減り非正規雇用が増えているのは事実」と認めているように、ハローワークの職業紹介でここまで非正規が増えていることこそ問題です。

 (吉)


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