2006年2月8日(水)「しんぶん赤旗」
「対テロ戦争」 最優先
07年度米予算教書
軍事費6.9%増
教育・医療費は大幅減
【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米大統領は六日、総額二兆七千九十億ドル(約三百十四兆二千四百四十億円、対前年度当初予算比5・5%増)の二〇〇七会計年度(〇六年十月―〇七年九月)予算教書を議会に提出しました。
同予算は、前年度に続き、「政権の国防上の最優先課題」と位置付ける「対テロ戦争」のため、軍事費や国土安全保障費を大幅に増額。国防総省予算は6・9%増の四千三百九十三億ドルとなっています。
一方でその他の省庁の裁量的支出は軒並み抑制され、百四十一項目におよぶ連邦政府の事業を縮小・廃止し、約百五十億ドルを「節減」。今後五年間で総額六百五十億ドルの義務的支出を削減するとしています。
削減の三分の一が職業訓練事業などの教育分野で、その結果、教育省予算は約24%も削られています。ベビーブーム世代が六十歳を迎えるもとで、高齢者医療制度(メディケア)を五年間で三百六十億ドル削減することも提案。一方で金持ち減税は恒久化するとしています。
財政赤字は現会計年度で過去最高の四千二百三十億ドルを見込んでいます。同日、記者会見した行政管理予算局のボルテン局長は、財政赤字が当初見通しを上回ったことについて、ハリケーン被害対策に伴う「予期せぬ支出のため」と説明。ブッシュ政権が公約してきた二〇〇九年までの財政赤字半減の達成は可能だと強調しました。しかし財政赤字拡大の大きな要因の一つであるイラク占領の経費はかさむ一方で、結局、財政赤字削減のしわ寄せは庶民に降りかかることになります。