2006年2月8日(水)「しんぶん赤旗」
盗聴で米公聴会
司法長官が合憲証言
与野党から批判の声
【ワシントン=山崎伸治】米上院司法委員会は六日、ブッシュ大統領が米国家安全保障局(NSA)に違法な盗聴を許可していた問題で公聴会を開き、ゴンザレス司法長官が証言しました。同氏は「法にもとづいており、合憲だ」と主張しました。
ゴンザレス氏は「テロリストの監視計画は必要であり、合法であり、だれもが大事に思う市民の自由を尊重している」と強調。「注意深く制限し、議会指導者には活動について詳細に説明してきた。この計画をいま中止すれば、敵に米国内で危険で死を招きかねない活動の余地を与えることになる」とのべ、「対テロ戦争」のために違法な盗聴を継続する姿勢を示しました。
議会では与党・共和党からも批判の声があがっており、同委員会のスペクター委員長は、「(法律にしたがって盗聴に許可を与える)対外情報監視裁判所に許可を求めるべきだった」と追及しました。
民主党のリーヒー議員も法律違反だと強調。マーティン・ルーサー・キング牧師に対する盗聴や、ニクソン政権下でのホワイトハウスの盗聴などをあげ、「行政府による数十年にわたる権利の悪用を受けて、法律がつくられた」とのべました。
しかしゴンザレス氏は最後まで、憲法で定めた大統領の権限や、二〇〇一年九月の同時多発テロ後の「武力行使」決議を根拠に、NSAの盗聴が違法ではないという立場を崩しませんでした。
■盗聴協力社が発覚
■電話3社、令状なしで
【ワシントン=山崎伸治】六日付の米紙USAトゥデーは、米国家安全保障局(NSA)による違法盗聴に米国の大手長距離電話会社が協力しているとして名前を報じました。複数の会社役員が匿名で同紙に語ったものです。
違法盗聴に電話会社が関与していることは指摘されていましたが、社名が明らかにされたのは初めて。協力しているとされるのはAT&T、MCI、スプリントの三社で、米国の国際通話の大半はこの三社を通じています。
同紙によると、米国や同盟国の諜報機関がテロに関係ある「対象」を突き止めると、NSAが「四十八項目のチェックリスト」でアルカイダと関係があるかどうかを調べた上で、盗聴するかどうかを判断。「技術者が電話会社の当局者と協力し、特定の人物ないしは電話番号で指定された通話を盗聴」しますが、この三社は「令状や裁判所の命令なしに」、米政府高官の口頭での要請で、通話のシステムにつなぐことを認めていたといいます。
電話会社からの情報は盗聴だけでなく、携帯電話が使用されている場合には「容疑者」の居場所を突き止めるのにも役立っているといいます。