2006年2月7日(火)「しんぶん赤旗」

「君が代」強制予防訴訟

教育には自由必要

堀尾名誉教授が証言


 東京都の教職員四百人が「君が代」斉唱の義務のないことの確認を求めて東京都教育委員会を訴えている裁判(予防訴訟)の第十三回口頭弁論が六日、東京地裁で開かれました。教育学者の堀尾輝久・東京大学名誉教授が証人として出廷。子どもの発達を保障するためには教師の教育活動の自由が重要であり、都教委による「日の丸・君が代」強制は「教育を否定する行政の暴走といえる」と証言しました。

 堀尾氏は、近代国家では国家権力が人間の内面に関与してはならないという原則が承認されているとし、子どもには学び成長する権利、みずからの思想・良心を形成する自由があることを、国際的な動向と憲法にそくして説明しました。

 子どもは多様であり、その一人ひとりの発達を保障するには、各学校の教師集団が子どもの実態にそくして教育課程や指導計画をつくり実践する自由がなければならないと強調。教育基本法が「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負」うと規定していることにふれながら、「教師には高い専門性が要求され、行事を含む教育課程の裁量権が大幅に認められなければならない。教師の内心の自由と実践の自由を侵すことは、子どもの精神発達の自由を侵すことにつながる」と指摘しました。

 子どもに特定の価値観を押しつけることは許されず「自分の価値観を自分で育てる力をつけるのが教育」だとし、都教委が卒業式・入学式のやり方を細かく規定して画一化していることは「教師集団の裁量を認めず、校長のリーダーシップも否定している」と批判しました。


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