2006年2月6日(月)「しんぶん赤旗」
イラク開戦 2カ月前に決定
米英首脳会談メモ基に暴露
英の国際学者が出版
【ロンドン=岡崎衆史】ブッシュ米大統領とブレア英首相が少なくとも二〇〇三年三月二十日のイラク開戦前の一月末には、開戦の意思を固めていたことが三日発売の本で改めて裏付けられました。著名な国際法学者でロンドン大学教授のフィリップ・サンズ氏が三日発売の著書『無法な世界』(新版)で、米英首脳会談のメモを基に暴露したもの。このメモの内容については、すでに一月二十九日付英紙メール・オン・サンデーや二月二日の英民放テレビ・チャンネル4も報道しています。
同書によると、両首脳の会談は〇三年一月三十一日に米ホワイトハウスで行われたもの。会談には両首脳のほかに六人の側近や顧問が出席。メモは出席者の一人によるものだといいます。
会談でブッシュ氏は、新たな国連安保理決議がなくても軍事行動が行われることになるとして、開始予定日として同年三月十日を具体的に挙げました。これに対してブレア首相は、「サダム(フセイン元イラク大統領)を武装解除するためにあらゆることを行う用意がある」と語り、米国と行動をともにすることを表明しました。
サンズ氏は、このメモで「ブッシュ大統領がすでに開戦を決めていたことが裏付けられた」とし、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の大量破壊兵器査察結果や、国連安保理の武力行使容認決議採択は、開戦決定とは「関係がなかった」と結論付けました。
また、ブレア首相も、この会談が行われた「一月三十一日までには(開戦の)決意を固めていた」とし、その後に安保理の新たな決議を求めたのは、アラブ諸国など国際的反応への「保険的な政策」だったと指摘しました。
同書によると、会談で両首脳は、イラクの大量破壊兵器保有の決定的な証拠が見つからない中で、開戦を正当化するための方策についても論議。ブッシュ氏が「国連色に塗装したU2偵察機をイラク上空に飛ばし、これに攻撃したら(国連決議)違反とする」と発言するなど、米国があらゆる手段を用いて開戦に持ち込もうとしたことを浮き彫りにしました。
ブッシュ氏は「わずかな可能性」としながらフセイン氏暗殺についても言及したといいます。