2006年2月6日(月)「しんぶん赤旗」

主張

米国防計画見直し

日本の戦争動員は既定事実か


 米国防総省は、「四年ごとの国防計画見直し」(QDR)報告を公表しました。ブッシュ政権がすすめている地球的規模での米軍事態勢の見直し計画を具体化するものです。

 米軍の統合化とともに同盟国の戦争動員をめざしており、先制攻撃戦争の態勢づくりを進展させます。米軍事戦略に組み込む形で進んでいる日米軍事一体化も加速されます。

■「日本防衛」と無縁

 QDRは、「長期戦争のための同盟能力の強化」を強調し、「日本、オーストラリア、韓国などとの同盟が太平洋地域での関与と共通の安全保障上の脅威に対処する協力行動を促進」「世界全体の軍事と安全保障の負担分担」とのべています。日本にアジア太平洋と世界での軍事責任を分担させようというのです。日米同盟を地球的規模に変質させることを許すわけにはいきません。

 日本政府は、日米安保条約を、「純粋に防衛的な安全保障の条約」(外務省「新しい日米間の相互協力・安全保障条約」)と説明してきました。自衛隊について、「わが国を防衛するための必要最小限の実力組織であるから憲法に違反するものではない」(八〇年政府答弁書)ともいってきました。QDRの指摘は、政府見解でも認められないことです。

 QDRは、イラク戦争で非人道的活動をしている特殊作戦部隊を増員、海兵隊の特殊作戦機能の強化、無人偵察機中隊の創設を明記しています。これらは、先制攻撃戦争に備えた装備の強化、配置の変更です。

 小泉政権は、日米軍事一体化を進め、QDRの内容を先取り的に具体化しています。先月、陸上自衛隊は、米国西海岸で米海兵隊から強襲上陸のやり方の手ほどきを初めて受けました。額賀防衛庁長官は、無人偵察機を〇七年度に導入することをあきらかにしました。

 QDRは中国について、「軍事的に競争する最大の潜在力をもつ」と指摘しつつ、米国の目標は、「責任ある利害関係者になること」だとしています。小泉政権は、〇四年十二月の「防衛計画の大綱」で軍事力の「近代化」をあげて中国の「動向には今後も注目していく」とのべて、事実上の仮想敵にしています。麻生外相も「中国は軍事脅威になりつつある」とのべました。

 小泉政権が世界でも突出した異常な従属内閣であることは明白です。

 QDRは、太平洋地域に展開する空母を「少なくとも六隻」とし、約七十隻ある潜水艦のうち60%を太平洋地域にまわすこともあきらかにしました。横須賀を恒久的な空母母港とし、通常型空母を原子力空母に変えることを当然視しています。佐世保基地の空母利用をふくめて日本は二隻の空母の拠点になる可能性があります。横須賀、佐世保、ホワイトビーチへの原潜寄港が激増するのは必至です。

 QDRの同盟関係強化計画は、日本の「平和と安全」どころか、世界とアジアの平和を脅かす震源地に変えるものです。国民にとって絶対認められるものではありません。

■平和の流れ大きく

 アメリカの先制攻撃戦略は、世界の平和と安全を脅かす不当不法な軍事方針です。そのための地球的規模の米軍事態勢見直しに反対するのは当然です。この中核ともいえる在日米軍再編に反対することは、アジアと世界の平和を守る重要な大義をもちます。

 アメリカの危険な軍事戦略に反対するとともに、日本国内で米軍再編に反対する運動を広げることがいよいよ大切になっています。


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