2006年2月4日(土)「しんぶん赤旗」

イスラム預言者の戯画で波紋

冷静な対応求める声

ユネスコ事務局長 “文明間の対話を”


 【ロンドン=岡崎衆史】欧州の各紙がイスラム教預言者ムハンマド(マホメット)の風刺漫画を掲載したことが、欧州や中東を揺るがす事態に発展しています。パリに本部をおく国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長は二日、「異なる文化・宗教間の冷静で良識ある対話を続けることが重要だ」との声明を発表し、冷静な対応を求めました。

 欧州連合(EU)のマンデルソン欧州委員(通商担当)は同日、BBCラジオで、「表現の自由が存在するのを証明するために人々を侮辱し、あざけり、ののしり、辱めることは必ずしも必要でない」と述べ、欧州各紙に自重を迫りました。

 問題の発端は昨年九月、デンマークのユランズ・ポステン紙が、爆弾のついたターバンを巻いたムハンマドの風刺漫画を掲載したこと。これに対しイスラム教徒がイスラムへの冒とくだとして激しく抗議。中東でのデンマーク製品のボイコット運動や、サウジアラビアやシリアのデンマーク大使の召還、デンマークのリビア大使館の閉鎖など、外交問題に発展しました。

 同紙は一月三十一日、漫画の掲載が大きな騒ぎとなったことに「遺憾」を表明しました。しかし「表現の自由を守れ」と訴えるフランス、ドイツ、イタリア、スペインなど欧州主要国の七紙が一日付でムハンマドの風刺漫画を掲載。問題はデンマークから欧州各地に拡大しました。

 その後、イスラム教徒の抗議を背景に、風刺漫画を掲載したフランスの夕刊紙フランス・ソワールのラカ社主は一日、イスラム社会に衝撃を与えたことに遺憾を表明し、編集局長の解任を発表しました。

 デンマークのラスムセン首相は二日放送のアラビア語衛星テレビ・アルアラビアのインタビューで、イスラム教徒の感情を傷つけたことに「深く心を痛めている」と述べ、双方の溝を埋め、解決の努力をしていくことを訴えました。


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