2006年2月2日(木)「しんぶん赤旗」
OECD発表の貧困率とは ?
〈問い〉 「格差の広がり」を否定する小泉首相と対比して、第24回党大会決議の「社会的格差の新たな広がり」の指摘は重要だと思います。ところで、OECD調査の「貧困率」とその説明にある「等価可処分所得」「所得の中央値」という言葉がよくわかりません。(大阪・一読者)
〈答え〉 貧困率の計算方法はいろいろありますが、OECD(経済協力開発機構)は、「等価可処分所得の中央値の半分の金額未満の所得しかない人口が全人口に占める比率」を「相対的貧困率」と定義して、国際比較を発表しています。
日本の数字は厚生労働省が毎年おこなっている「国民生活基礎調査」のデータから計算しています。
「可処分所得」とは、給与・事業所得・年金・各種社会保障手当などの年間所得から、所得税・住民税・社会保険料・固定資産税を差し引いたものです。
「等価可処分所得」とは、世帯を構成する各個人の生活水準やその格差をみるために、世帯単位で集計した可処分所得をもとに、構成員の生活水準を表すように調整したものです(統計上、世帯全体の可処分所得を世帯の人数の平方根で割って算出)。
「中央値」とは、全人口を等価可処分所得順に並べた時に中央に位置する人の等価可処分所得です(平均値とは異なり、一般的には平均値より低い値になります)。
2000年の家計所得をもとにした国民生活基礎調査(01年実施)のデータで計算すると、等価可処分所得の中央値は約274万円であり、この半分の額である約137万円に満たない人の割合が貧困率となります。
05年発行のOECDの社会指標に関する報告書によれば、00年のデータで、OECD25カ国の貧困率の平均値は10・2%となっています。
日本の貧困率は15・3%で、メキシコ(20・3%)、アメリカ(17%)、トルコ(15・9%)、アイルランド(15・4%)に次いで5位となっています。イギリス(11・4%)、ドイツ(9・8%)、フランス(7%)、スウェーデン(5・3%)などと比べて、高い値となっています。
日本は、90年代なかばには13・7%であり、この間に貧困率が上昇しています。
最新の国民生活基礎調査のデータ(02年所得)で計算すると、日本の貧困率は16・7%で、さらに上昇していることがわかります。
なお、00年の日本の「貧困層」の上限となる実際の可処分所得は、単身世帯では137万円、2人世帯では194万円、3人世帯では238万円、4人世帯では274万円です。
サラリーマン片働き世帯を仮定して、税・社会保険料込みの年収に換算すると、それぞれ、158万円、216万円、264万円、305万円となります(いずれも概算値)。(橋)〔2006・2・2(木)〕