2006年2月1日(水)「しんぶん赤旗」

求人「改善」というが…

パート・派遣が急増

13年ぶり1倍台 正社員は0・65倍

昨年12月


 企業の求人数は改善しているものの、増えているのは、賃金が低く、身分不安定な、非正規社員の求人であることが、厚生労働省が三十一日発表した昨年十二月の有効求人倍率(求職者一人当たりの求人数の割合=季節調整値)で分かりました。


 同月の有効求人倍率は、前年比〇・〇一ポイント改善し、一・〇〇倍となりました。一倍に達したのはバブル崩壊直後の一九九二年九月以来、十三年三カ月ぶり。

 しかし、雇用形態別にみると、正社員が〇・六五倍にとどまっているのに対し、常用的パートタイム労働者は一・四一倍と、求人が増えているのは非正規雇用です。十三年前の九二年と比べると、求人に占めるパートの比率は16・3%から31・8%に高まっています。

 財界・大企業のねらいである正社員から非正規雇用への置き換えが、小泉政権の進める労働法制の「規制緩和」のもとでいっそう広がっていることを示しています。

 地域別では、最も高い愛知県(一・六一倍)と最低の沖縄県(〇・四一倍)の間に約四倍の開きがあるなど格差が目立つほか、北海道(〇・六三倍)、九州(〇・六九倍)などの地方は依然として厳しい状況が続いています。

 一方、総務省発表の十二月の労働力調査によると、完全失業率は4・4%と前月比0・2ポイント低下したものの、十三年前の二倍の水準です。

 また、十五歳から二十四歳の男性が9・9%(二〇〇五年の平均値)と若年層の雇用の深刻さは続いています。北海道、東北、近畿、九州で5%を超えるなど地域間格差も拡大しています。

■正社員雇用増を

 労働者教育協会常任理事の佐々木昭三さんの話 求人が改善しているといっても、中身は非正規の求人が増えています。有効求人倍率が全国で一番高い愛知をみても、トヨタ自動車の生産ラインでは三割から四割が期間工。五割を超すラインもあります。財界・大企業が進め、小泉内閣が労働法制の改悪で後押しする使い捨て雇用、リストラによるコストダウンでは、貧困と所得格差が広がるばかりです。正社員を増やすこと、同一労働同一賃金の原則に立った均等待遇をはじめ、大企業に社会的責任を果たさせる政策の転換が必要です。


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