2006年1月31日(火)「しんぶん赤旗」

米、所得格差広がる

最低賃金の実質低下など背景

民間研究所調査

過去20年の所得の伸び

最上位4万5800ドル対最下位3000ドル


 【ワシントン=鎌塚由美】ワシントンに本部を置く予算・政策優先センター(CBPP)と経済政策研究所(EPI)は二十六日、米国民の所得格差が広がっているとする調査報告を発表し、各州に対策を促しました。

 同報告は、過去二十年間の国勢調査による所得を分析。ほとんどの州で、高所得者が所得を「大幅に増やす」一方、中・低所得者は「ささやかな増加」にとどまっていると述べています。

 所得格差が広がっている例として報告は、三十八州で、この二十年間に、五分位の最上位の層が平均四万五千八百ドルの収入増(62%増)を果たした一方、五分位の最下位は平均三千ドルの伸び(21%増)しかなかったことを紹介しています。

 これは最も貧しい家庭の購買力が、年間わずか百四十三ドルしか増加していないことを意味しています。

 報告は、所得格差の主な背景に、賃金格差の拡大があると指摘しています。中・低賃金の労働者の賃金水準は「停滞またはわずかに上昇」した一方、高賃金労働者の賃金は、「著しく上昇」したといいます。

 高失業率の長期化、経済のグローバル化、低賃金サービス業の拡大、最低賃金の実質低下などにより、高卒以下の労働者の賃金が低下しました。ハイテクバブルの崩壊と国際競争を口実にした賃金抑え込み圧力のもと、最近では大卒者でも賃金低下を経験している人々がいるとしています。

 報告は、賃金・所得格差の要因として、「規制緩和、貿易自由化、社会的セーフティーネットの脆弱(ぜいじゃく)化、団体交渉の権利を調整する効果的な労働法の欠落」といった「政府の政策と無策がある」と指摘。「連邦、州、地方レベルの税制や社会保障制度の変化」も不平等の拡大を促進しているといいます。

 報告は、州レベルの取り組みが求められるとし、「組合結成に関する規定づくり、失業保険制度の設計、州の最低賃金の確立」などを提案しました。

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