2006年1月31日(火)「しんぶん赤旗」

生活悪化 変えて

定数2で当選 函館市区道議補選

自民支持の社長さんも応援


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 二議席を有力五人が激しく争った北海道・函館市区道議補選(二十九日投・開票)。日本共産党の前川一夫氏(58)=党函館地区副委員長=は、地元マスコミの予想をくつがえして初当選を勝ち取りました。

 地元紙の「函館新聞」が「大波乱 保守3氏総倒れ」「自民最悪のシナリオ」と報じたように、前川氏が二人の自民新人と保守系候補に競り勝ったことは、函館の保守政界や経済界に大きな衝撃を与えました。

■弱肉強食ノー

 学習塾経営の坂本春樹さん(55)は「共産党の議席を守ることができた。高橋知事に対抗する『真の野党』を守った。これはすごい快挙だ」と喜びます。

 北海道では長引く景気の低迷のなか、「灯油やガソリンが値上がりして大変」「働こうにも仕事がない」「医療費がかさんで、生活がゆるくない」など、生活への不安が広がっています。函館では、「生活がどんどん悪くなっていく。この政治を変えるには共産党の前川さんに当選してもらわないと困る」など多くの声が前川候補に寄せられました。

 米国産牛肉の危険部位混入やマンションなどの耐震偽装、ライブドア粉飾決算問題など、小泉「構造改革」「規制緩和路線」の矛盾と破たんが国民、有権者の目にも明らかになったなかでの選挙でした。高橋道政が「小さな道庁」の名で進める私学助成の道単独上乗せ分の廃止や、難病患者への医療費助成の削減は小泉「構造改革」北海道版でした。もうけのためには手段を選ばない小泉流「弱肉強食」の政治のあり方も大きな争点になりました。

 前川陣営は「小泉流の政治のあり方が、今問われている。血の通った温かい政治を求める道民の願いに応えられる候補者は、日本共産党の前川さんだけ」と訴えました。

 地域で青年問題にとりくんできた水野成志さん(31)は「とくに函館は青年の雇用がすごく少ない。毎日が季節労働者みたいな働き方をしていて、知り合いになっても、職を転々とするからすぐ連絡が取れなくなってしまう。この現状を変えていってほしい」と前川さんに期待します。

■民主も減らす

 小泉政治への疑問や不安が広がるなかで、自民党支持者が前川候補を支持する変化も生まれました。

 「自民党支持で共産党には一度も入れたことがない」といっていた社長さんは、「消費税の増税なんてとんでもない。これ以上上がったらやっていけない」と業者後援会の集会に参加。今回初めて四十人を超える従業員らに前川支持を広げました。自民党現職道議を応援してきた社長は「地方議会に共産党は必要。地域の意見を道議会に反映してくれるのは共産党だけだ」とのべ、前川候補支持を約束しました。

 日本共産党は、〇五年総選挙の比例得票比で八百十七票増やし、民主党は三万四千百四十票減らしました。

 伏木田政義選対本部長は「民主党が前原代表になってから、右傾化に失望する声が強まっている。そのなかで道民に痛みを押しつける小泉政治と正面から対決してきた共産党への有権者の期待が強まった」と指摘します。

 五十年ぶりの大雪となった函館では、すみやかな「除排雪」が市民の強い要望でした。前川候補は選挙中にも、商店街の商店主や函館・朝市、子どもが学校に通う親から要望をうけ、市に除排雪を要請し実現。「共産党のおかげで本当に助かったよ」などと喜ばれました。(秋山強志)

◇道議補選函館市区の開票結果(定数2)

 当高橋  亨52民新

      二二四四一

 当前川 一夫58共新

      一三四五四

  畠山  博61無元

      一二九八三

  佐々木俊雄55自新

      一二四六三

  金沢 浩幸43自新

      一一九五八


■合併前のよい制度復活訴え

■2選挙区トップ当選 滋賀・東近江市の増員選

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 二十九日投・開票された滋賀県の旧蒲生町と旧能登川町の東近江市議増員選挙で、日本共産党の田郷正氏(蒲生区・定数四)と、藤田淳子氏(能登川区・定数五)が、そろってトップ当選。それぞれの選挙事務所では、大きな勝利に歓声がわき、奮闘をたたえあいました。

 田郷氏は「悔いないたたかいができた。公約実現に、みなさんと力を合わせたい」と語り、大きな拍手を受けました。

 藤田さんも「当選はみなさんの応援のおかげ。困っているお年寄りを放ってケーブルテレビ事業に八十億円。こんなことなら、という声もたくさん聞きました。手をつないで、がんばりたい」と決意を述べました。

■得票を伸ばす

 日本共産党の得票は先の衆院選比例得票を、蒲生は二・三倍、能登川は一・四八倍に伸ばしました。

 蒲生、能登川は今年一月一日に東近江市に編入(吸収)合併し、六十五歳以上の医療費無料化制度など、これまで住民が築いてきた制度を失うこととなりました。蒲生も能登川も、吸収合併の是非は住民投票でという直接請求運動などがとりくまれ、日本共産党も奮闘しました。しかし、どちらの旧町議会も日本共産党以外の議員が否決。一方で今回の選挙で立候補した多くの前町議候補が、「合併してゴミばかり流れてくる」と、合併の害に言及せざるを得ませんでした。

■党派超え支持

 この中で日本共産党候補は「市議会でしっかり発言する、地元の代表の一人に加えてください」と、よい制度の復活、党派を超えた支持を訴えました。

 蒲生では保守系の元町議が田郷候補支持の声をあげ、これまでにない多くの住民が応援。能登川も元の町幹部が「藤田さんがいないと能登川のためにならん」と声を寄せました。

 町の危機を棚上げし、藤田候補に「反対だけならだれでもできる」などと攻撃した候補は落選。蒲生で二議席を持っていた公明党は、公認候補も立てられませんでした。

 東近江市は昨年十月に旧一市四町で合併市議選があり、日本共産党は定数三の選挙区も含め、四人全員が当選。今回選挙で議席占有率は16・67%から18・18%となりました。(滋賀県・黄野瀬和夫)


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