2006年1月30日(月)「しんぶん赤旗」
世界の失業者220万人増 05年
若者では平均の3倍
ILO 雇用危機を警告
国際労働機関(ILO)は二十四日、年次報告書『世界雇用情勢』を発表、二〇〇五年末の失業者数は一年前より二百二十万人増え、一億九千百八十万人に達したことを明らかにしました。失業率は6・3%で前年から変化していません。
同報告は、十五歳から二十四歳までの若者の失業者数は八千六百万人で、世界の失業者数の半数に上っていることを指摘。この年齢は労働年齢人口の25%にすぎません。報告は、若者の間の失業率が平均の三倍以上に達していることに懸念を表明しています。
同報告は、世界全体で国内総生産(GDP)は4・3%の成長を示しているが、世界銀行の貧困ライン(一日一米ドル以下)から抜け出ることができた労働者は五億人のうち千四百五十万人しかいなかったことを指摘、経済成長だけでは雇用問題が解決できないことを強調しています。
また世界の労働人口二十八億人のうち、一日二ドルを下回る所得の人々が十四億人おり、この数字は十年前から変わっていないことを明らかにしました。また失業者数は十年前の一九九五年との比較では三千四百四十万人増加しています。
女性の就業率は九五年の51・7%から〇五年は52・2%とわずかに増加したものの、男女間の就業格差は依然として大きく開いています。女性は世界の労働力の約40%を構成しています。
ILOのソマビア事務局長は二十五日、同日から二十九日までスイスのダボスで開催されている世界経済フォーラム(WEF)でも、雇用創出が議題の一つに取り上げられていることを歓迎、世界は前例のない雇用危機の状態にあると警告する声明を発表しました。
同事務局長は、世界の経済成長が堅調であるにもかかわらず、求職者数に対応する雇用を創出できていないと指摘、今後十年間にわたり毎年約四千万人の雇用を創出する必要があることを強調しました。