2006年1月28日(土)「しんぶん赤旗」
主張
新基地建設計画
島ぐるみのたたかいで阻止を
沖縄県名護市長選がおこなわれました。政府は、自民、公明両党推薦候補の当選について、「われわれの進めてきた米軍基地再編が評価された」(安倍官房長官)、「建設的な話し合いを行っていきたい」(額賀防衛庁長官)とのべています。
しかし、名護市民の圧倒的多数は、新基地建設計画につよく反対しています。選挙では新基地反対の新しい共同が生まれました。島ぐるみのたたかいを大いに進めるときです。
■押し付けはやめよ
日米両政府は、米軍普天間基地(宜野湾市)に代わる新基地を、キャンプシュワブ(名護市)兵舎地区を軸に、大浦湾(東側)と辺野古沖の浅瀬(南側)に突き出す形で建設しようとしています。総合的な航空作戦機能をもつ基地にする計画です。近接した集落に航空機騒音や墜落の危険を押し付け、美しい海を汚し環境を破壊します。どこからみても道理のない計画です。
名護市民、沖縄県民は新基地建設に反対し島ぐるみのたたかいを進めてきました。市長選挙も、この名護市民の新基地拒否の意思を反映するものとなりました。
我喜屋(がきや)宗弘氏(日本共産党、社会大衆党、社民党、民主党推薦)はもちろん、当選した島袋吉和氏(自民、公明両党推薦)も新基地建設計画反対を強調しました。島袋氏を応援した稲嶺沖縄県知事も、島袋氏と「沿岸案について絶対に容認できないという姿勢を貫くということで一致」したといっています。
市長選投票当日のNHKの出口調査では、新基地建設を「受け入れない」が50%、「受け入れてもよい」10%、「条件付きで受け入れ可能」26%を大きく上回っています。朝日新聞社の出口調査では、沿岸部をふくめた辺野古周辺での新基地建設に79%が「反対」とこたえています。名護市民の基地反対の意思はきわめて明確です。
島袋氏は、当選後、「沿岸案には反対で、政府に修正案を求めることはない」とのべました。この表明は、きわめて重い約束です。
政府が選挙結果に期待をよせるのは、島袋氏が、日米両政府の計画に反対するものの、SACO(沖縄にかんする特別行動委員会)が決めた辺野古沖の修正なら受け入れもありえるかのように言ってきたからです。しかし、辺野古沖の計画は、名護市民と沖縄県民の長期にわたる粘り強い反対運動で断念においこまれたものです。沿岸部にずらすなどの「修正」をすれば、名護市民や沖縄県民が新基地に賛成すると考える方がそもそも間違っています。
米軍再編にかんする「中間報告」公表(昨年十月)直後、地元の琉球新報社と沖縄テレビがおこなった県民世論調査は、普天間基地について即時閉鎖・無条件返還、国外移設、県外移設を合わせて名護市民もふくめた県民の85・2%が、新基地建設それ自体に反対しているのです。
政府は、アメリカいいなりでなく、名護市民と県民に広がる新基地反対の声に耳を傾け、新基地押し付け策動をきっぱりやめるべきです。
■大義ある反対運動
新基地建設計画は、日本を、イラク侵略のようなアメリカの先制攻撃戦争のための最新鋭の“殴りこみ”拠点にするものです。これに反対する運動は、日本の安全を守るだけでなく、アジアと世界の平和を守るという重要な大義をもっています。
新基地建設計画に反対する一点で、共同のとりくみを発展させ、基地のない沖縄をつくりましょう。