2006年1月27日(金)「しんぶん赤旗」
ハマス第一党に
パレスチナ選 自治政府首相が辞意
【カイロ=小泉大介】二十五日に実施されたパレスチナ評議会(国会に相当、定数百三十二)選挙で、初参加のイスラム原理主義組織ハマスの大躍進が確実となりました。選管の公式結果発表は二十六日午後七時(日本時間翌午前二時)以降の予定ですが、選挙関係者によれば、パレスチナ解放機構(PLO)主流派最大組織のファタハを抜いて単独過半数を獲得する可能性もあります。
二十五日の投票終了後に発表された各種出口調査結果はいずれも、ファタハがハマスを得票率で数%、議席数で五議席程度リードしました。しかし、開票が進んだ二十六日になり、ハマス幹部のハニヤ氏が五割以上の得票で七十議席以上の単独過半数を確保したと表明。ファタハ幹部からも、ハマスが七十議席を獲得し勝利するだろうとの見通しが相次ぎ出ました。
ハマス躍進が確実になったことをうけパレスチナ自治政府のクレイ首相は二十六日、「多数を獲得した勢力が新政府を形成すべきだ」と、事実上、ファタハの敗北を認め辞意を表明しました。
自治政府のアッバス議長やクレイ首相の出身母体であるファタハは、ハマスがボイコットした前回(一九九六年)評議会選挙で系列の議員も含め七割以上の議席を獲得し圧勝しました。しかしハマスが今回、議席ゼロからの大幅躍進が確実となったことで、パレスチナの政治地図は根本的に変わることになります。
選挙戦で、交渉による和平の達成を掲げたファタハにたいし、ハマスは「イスラエル抹殺」「武装抵抗」の立場を放棄しませんでしたが、「交渉もタブーではない」と方針転換も示唆し対抗しました。ハマスはまた、ファタハの腐敗体質を最後まで厳しく非難し、劣悪な生活条件にあるパレスチナ人の共感を広げたとみられます。