2006年1月24日(火)「しんぶん赤旗」

ボリビア大統領が就任

先住民族出身/過半数を得票

“初めてづくし”


 【ラパス(ボリビア)=松島良尚】二十二日のモラレス・ボリビア新大統領の就任は、先住民族出身ということだけでなく、さまざまな点で「初めてづくし」です。

 同大統領は先月の選挙で、一九八二年の民政移管以来の大統領選で初めて過半数の票(53%)を獲得。投票率も過去最高の84%を記録しました。

 同国には決選投票制度がなく、選挙で過半数を獲得する候補がいなかった場合、国会が上位二者から選出します。過去には、密室の交渉で第二位候補が大統領になったこともあります。民意がストレートに反映したのは今回が初めてです。

 それだけに国民は喜びに沸き、国民レベルで大統領就任を祝うさまざまな行事が行われています。これも過去の大統領就任にない現象です。今月中旬に実施された世論調査では74%の支持率でした。

 世界からこれほど注目を浴びているのも同国史上、かつてなかったといわれます。人口八百八十万人の貧しい国の大統領就任を取材する外国人記者は千二百人以上。外国メディアによる同国取材としては過去最高の規模です。記者証を発行する外務省担当者は連日、徹夜作業でした。

 世界が注目するのは、新大統領が先住民族出身だということと、中南米に吹く「変革の風の強まり」です。

 米国や国際金融機関が推進してきた市場原理最優先の新自由主義政策は、国民、とりわけ人口の55%を占める先住民の生活を苦しめています。これにきっぱり「ノー」をつきつける大統領の誕生は、米国に対する自主的な立場や経済モデルの転換をめざす南米の革新の潮流をいっそう浮き彫りにしています。現地のメディアには「先住民左翼」という言葉も登場しました。

■新大統領就任/10万人が祝福

 【ラパス(ボリビア)=松島良尚】ボリビアのエボ・モラレス新大統領の就任式当日の二十二日、ラパス中心部の「英雄たちの広場」に面する九階建てビルの壁に巨大な七色の旗が踊りました。先住民の団結を象徴する「ウィパーラ」と呼ばれる七色の旗です。

 この日、広場周辺は通行止め。新大統領就任を祝うために早朝から市民が集まり、先住民族も各地からやってきました。

 モラレス新大統領が就任式を終え広場に入ってきたのは夕方。群衆は十万人以上に膨れ上がりました。

 五人の子どもを連れてやってきた建設労働者のゴメスさん(52)は、「エボには貧困対策を期待している。これまで貧乏人には何一つ良いことがなかった」と言いました。

 広場では、著名音楽家の歌と演奏が深夜まで続きました。


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