2006年1月24日(火)「しんぶん赤旗」

モラレス大統領就任

新自由主義終結へ決意

南米ボリビア


 【ラパス(ボリビア)=松島良尚】南米ボリビアで二十二日、同国初の先住民族出身となるエボ・モラレス大統領(46)の就任式が行われました。新大統領は植民地的構造と先住民差別、新自由主義を終わらせると述べ、国家再建の決意を表明しました。同氏は昨年十二月の大統領選で当選。ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイに次ぐ南米左翼政権の誕生となります。

■失業者増えただけ モラレス大統領新自由主義を批判

 ボリビアのモラレス大統領は就任演説で、「五十年前、先住民には国会前のムリリョ広場に入る権利さえなかった」としてスペイン侵略に抵抗した先住民の苦難をふり返り、新政権はその復しゅうではなく、先住民差別問題の解決にあたると述べました。

 米国が押し付けた新自由主義経済政策については「もうたくさんだ」と強調。「豊かな天然資源がありながら実に多くの国民が外国に働きに出かけている。電気のない学校、満足な道もない村。新自由主義のもと、失業や移民が増えただけだ」と批判しました。

 新大統領は、公共サービス部門の民営化に反対し、水道事業の民営化を強く批判。また、政権引き継ぎの作業を通じ、ボリビアが政治・経済的にいかに外国に依存、追随しているかを痛感したと述べました。天然資源の国有化を基盤にしながらも、一次産品の輸出だけに頼らず、工業化を進める意欲を示しました。

 新大統領は、「新政権が求めるのは、どの国にも同等の権利があり、主権が尊重されなければならないということだ」と国際社会に要望。ブラジルやベネズエラなどが進めている南米エネルギー構想に参加する意思も表明しました。

 米国が求めるコカ栽培根絶については、多くの国民が伝統的に消費するコカ葉と麻薬対策は別問題だとし、米国と共同で麻薬対策を徹底していく姿勢を示しました。

 就任式には、中南米からブラジル、ベネズエラなど九カ国の首脳が参加しました。

 このうちチリのラゴス大統領の出席が注目され、モラレス大統領も演説の中で感謝を表明しました。ボリビアはチリとの「太平洋戦争」(十九世紀)で領土の一部を失って内陸国になりました。外交関係は、ボリビアが太平洋への出口を求めたことをめぐって一九七八年以来途絶えています。ラゴス大統領は今回の訪問で、両国間のあらゆる問題を話し合う用意があると述べました。


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