2006年1月23日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

アニメで考える平和・核兵器廃絶

NAGASAKI・1945 アンゼラスの鐘

上映運動に参加 医療従事者


 医療に従事している青年たちが、被爆者や平和活動に携わる市民たちとともに一本の映画上映運動に参加し、情熱を燃やしています。今、全国各地で自主上映されている長編アニメ「NAGASAKI・1945 アンゼラスの鐘」(有原誠治監督)。アメリカによる原爆投下を告発した映画です。東京・練馬区では、青年たちが地域の人たちと一緒になって上映実行委員会をつくり、上映会を成功させました。(菅野尚夫)


 練馬区で上映会開催の話が持ち上がったのは昨年一月のころ。市民の手づくりによる自主上映の公開映画のため、制作資金などの募金活動や参加券の普及をすすめなければなりません。実行委員会は、昨年五月七日に結成されました。

 事務局長を務めることになったのは、日本共産党練馬地区委員会青年支部長の沼沢義昭さん(35)です。そのほかに、アニメーターや医療従事者、民主青年同盟員など六人の若者も実行委員に加わりました。

 実行委員長は練馬区在住で「被爆者練馬の会」会長の志賀善隆さんです。志賀さんには、長崎での被爆体験を第一回の実行委員会で語ってもらいました。家が焼失し、負傷しながらも救助活動に携わった志賀さんの体験から「人間が極限の中にあっても連帯して生きることが大切だということを教わり、映画と重なりました」(沼沢さん)。

 沼沢さんたちは練馬区内の集会に出かけて訴えたり、高校生の平和の集いで参加を呼びかけるなど精力的に活動。昨年十月の上映会は約五百人が参加する大成功でした。沼沢さんは「約一年間取り組んだ経験は、代えがたい財産になりました。やって良かった」と話しています。

■東京・練馬

■生き方問いかける

 大泉生協病院の事務職員・高橋友佑さん(28)

 僕が医療関係の仕事に就こうと思ったのは、自分がぜんそくに苦しんでいて、そんな僕を助けてくれる医者や看護師さんたちがかっこよかったからです。

 長崎に投下された原爆の恐ろしさを、映画はリアルに描写していて、背筋が凍り付きました。極限の中でもあきらめず、手の施しようのない重傷者たちに生きる希望を語り、励ます秋月先生の生き方に感動しました。

 平和と核兵器は共存できないことを訴えたこの映画は、現代に生きる僕らにどんな生き方をすべきかを問いかけているようです。

 僕自身、秋月先生と同じく「患者を見捨てない」覚悟で医療の仕事を続けたいと思っています。

 未来が見えずに自殺する青年は後を絶ちません。絶望的な事態にあっても人間らしく生きることを強烈に訴えている映画です。

■人の命の重さ感じた

 大泉生協病院の看護師・藤田友絵さん(33)

 看護師になって四年目のとき、がんで亡くなった被爆者を看取りました。スタンダードながん治療は無力でした。治療しても治療しても違う場所からがんが出てきます。この患者は独身を通し、被爆したことを隠し通しました。

 放射能に侵されて一生苦しみ続けた被爆者の患者さんの生き方にも衝撃を受けました。戦争がなかったら違った人生を生きたと思うと許しがたく、映画とダブりました。

 この映画を見て、人の命はものすごく重いこと、何が本当の平和なのかを感じ取ってほしいと思います。

 中越大震災のなかで医療に携わる新潟の看護師や記録的な豪雪で命を守る医療のために惜しみなく働く看護師仲間。そうした魅力ある生き方を私も貫くことを映画をみて改めて心に刻み付けました。

■戦争考える機会に

 練馬実行委員で医療事務の村上絵理子さん(29)

 この映画で一番印象的だったのは、町内会長が「日本も原爆を完成した。これでアメリカに仕返しできる」と言うシーンです。それに対して、秋月先生は「ここで起きていることをよく見ろ。二度と戦争はやるべきでない」と言いました。

 戦争を知らなくても、この映画には戦争についてのいろんなことが詰まっていて、考えるきっかけになります。上映会では司会をやらせてもらいました。すごく楽しくて、たくさんの人たちと反核平和の思いを共感できてうれしかったです。

 浦上天主堂のアンゼラスの鐘は原爆で吹き飛ばされますが、長崎の人々は、がれきのなかから見つけた鐘をふたたび復活させて時を告げて鳴り響かせます。むごさとともに平和への熱いメッセージが伝わる映画です。

 「アンゼラスの鐘」新春上映会 二十四日午後七時から 東京・中野区の中野ZERO小ホールで 東京上映実行委員会

 ▼「アンゼラスの鐘」とは このアニメ映画は、一九四五年、原爆投下直後の長崎市が舞台。主人公は、被爆者の治療と救援に献身した医師の秋月辰一郎さん(故人)です。爆心地から約一・四キロの浦上第一病院で被爆者の医療活動を行って自らも被爆しました。  秋月医師の医療活動を通して、原爆投下後の悲惨さを描き、原爆と放射能汚染の残虐性、非人間性を訴えるとともに、核兵器廃絶の大切さを伝えています。  アニメ「火の雨がふる」「えっちゃんのせんそう」などをつくった有原誠治さんが脚本・監督をつとめました。有原さんは「イランやアフガニスタンの医者たちの苦しみと同じ。戦争はもうたくさんだという秋月先生の叫びを伝えたかった。被爆六十周年の二〇〇五年に完成。中学、高校生など若い世代に見てもらいたい。憲法を守る力になれば」といっています。


■お悩みHunter

■2人の上司の意見がばらばらで困ります

Q精密関係の会社に入社して一年たちました。仕事を教えてくれる上司の意見がばらばらで困っています。上司Aさんは、多くの不良品が出ても早さを求め、上司Bさんはゆっくりでも不良品を出さないことを求め、交互に怒られます。二人がいるときには遠慮をして意見はいいません。自分なりに一番早く、正確な仕事をすると、「勝手なことをした」と次の仕事を教えてくれません。(23歳、男性。長野県)

■社内の協力得て改善しよう

A仕事を教えない、無視をするといった上司の行為は、部下に対する上司の仕事の責任を果たしていないということだと思います。会社に対して、このような状況をあなたが訴えても良いのではないかと思います。そして、会社の方針として、どのようなやり方を望むのか、はっきり示してもらう必要があると思います。

 しかし、会社に対して上司を訴える行為は、現実問題として会社全体の大きな問題になる可能性もあります。あなたと上司の関係がやりにくくなるかもしれません。社内であなたの仕事の状況や上司の性格をよく理解してくれる人、信用できる人を見つけて相談してみてはどうでしょうか。

 気持ち良く働きやすい職場を願っているのは、あなただけではないと思います。職場の改善を願う仲間をつくることや、労働組合があれば、相談することも方法ですね。

 あなたは今までとても前向きで、適切な行動をとって問題を解決しようとしてきました。あなたの仕事に対する意欲や志もすばらしいと私は思います。

 このような状況は、どんな現場でも多少なりともあります。その上司も何か悩みがあるのかもしれません。独りで悩まずに、周りの協力も得て改善していきましょう。


■舞台女優 有馬 理恵さん

 「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。


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