2006年1月23日(月)「しんぶん赤旗」
CIAが容疑者を海外移送
英政府、不法を黙認
英誌が外務省メモ暴露
【ロンドン=岡崎衆史】英政府が、拷問を受ける可能性のある国へのテロ容疑者の移送を国際法違反と判断しながら、米中央情報局(CIA)が英国内でこれを行った疑惑を追及せず、逆に国民の批判をかわそうとしてきた疑惑が明らかになりました。英週刊誌『ニュー・ステーツマン』が十九日に公表した英外務省秘書官のメモから判明しました。
メモは、拷問される可能性がある国へのテロ容疑者の移送について、「国連拷問等禁止条約で明白に禁じられており合法ではありえない」と指摘。その上で、疑惑解明の代わりに、米国との協力によるテロとのたたかいの重要性や、米国が拷問を否定し国際法と国内法の順守を明確にしていることに論議の焦点を当てるよう勧めています。
メモはまた、拷問される可能性のある国への容疑者の移送に関して、「英国の領土や領空の使用の要請を受けたと主張してはならない」とも述べ、逆に英国がこの問題に関与してきた疑惑をいっそう強めています。
メモは昨年十二月七日付。CIA疑惑に関するブレア首相の国会答弁の資料づくりのため、首相府が要請し、外務省がこれに応えたものです。外務省のシディク秘書官が署名し、あて先は首相官邸のキャシー書記官補となっています。
ブレア英首相は昨年十二月二十二日の記者会見でテロ容疑者の移送の問題について問われ、「それについては分からない」と述べるなど、ほぼメモに沿った見解を示してきました。