2006年1月22日(日)「しんぶん赤旗」
イラク侵略・拷問・環境破壊…
ブッシュ政権の罪問う
NYで民間法廷
【ニューヨーク=山崎伸治】ブッシュ米政権によるイラク、アフガニスタンへの侵略や地球環境破壊、ハリケーン・カトリーナ被害への無策など、同政権が犯した「人道に対する罪」を問う法廷が二十日、ニューヨークで始まりました。
法廷は「ブッシュ政権が犯した人道に対する罪を問う国際委員会」が主催。
昨年十月に開いた第一回法廷に基づき、(1)イラク、アフガニスタンに対する侵略戦争(2)拷問と無期限の拘束(3)地球環境の破壊(4)地球的規模の人々の健康と生殖にかかわる権利への攻撃(5)ハリケーン・カトリーナ被災への不十分な対応―の五項でブッシュ政権の罪を問うています。
法廷は、国際委員会が依頼した大学教授や元外交官、平和・人権運動活動家ら五人の判事に対し、証人が証言して進められます。
今回の第二回法廷は三日間の予定。約二百人が傍聴するなか、初日は歌手・俳優でユニセフ(国連児童基金)親善大使のハリー・ベラフォンテ氏、人権擁護団体「憲法権利センター」のマイケル・ラトナー所長の激励のあいさつに続き、侵略戦争の罪について六人の証人が発言しました。
一九九一年から九八年まで国連査察官としてイラクの大量破壊兵器を調査したスコット・リッター氏は、イラクが大量破壊兵器を廃棄したことは米中央情報局(CIA)ですら確認していたと指摘。にもかかわらずブッシュ政権は二〇〇一年の同時多発テロ以降、イラクが保有していると言い立てるようになったとし、「米政府は世界にウソをついてきた」と批判しました。
同氏は、「国連憲章は自衛のためと、安全保障理事会が必要と認めたときの二つしか、武力行使を認めていない。イラク戦争はいずれにも当てはまらない」と述べ、イラク戦争の違法性を指摘しました。
ジャーナリストとしてイラク現地に八カ月滞在したダール・ジャマイル氏は、(1)米軍が子どもや救急車を銃撃した(2)ファルージャで一般市民を包囲し孤立させた(3)クラスター爆弾や劣化ウラン弾を使用した―ことなどを証言しました。
ジャーナリストのジェレミー・スカヒル氏は、「イラクでは六十人のジャーナリストが命を落としているが、そのうち十三人は米軍に殺されている」と指摘。米軍が中東カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」を狙い撃ちにしていると批判しました。