2006年1月21日(土)「しんぶん赤旗」
無年金障害者の請求棄却
大阪地裁 原告、ただちに控訴へ
「年金加入が任意だった時代に未加入だったからといって、二十歳を超えて障害を負ったものに障害基礎年金が支払われないのは法の下の平等に反する」として、近畿地方の十人が国を相手に障害基礎年金の支給と一人当たり二千万円の損害賠償を求める訴訟の判決が二十日、大阪地裁でありました。西川知一郎裁判長は「保険料を払っていない人に年金を支給するのは払っていた人に対し不公平」「救済措置をとらなかったのは立法府の裁量権の範囲」などとして、原告の請求をいずれも棄却しました。原告はただちに控訴する方針です。
訴えていたのは兵庫県尼崎市に住む原静子さん(60)ら大阪、兵庫、奈良三府県の十人。
判決は、憲法二五条や一四条は「拠出能力を欠く者に対しても負担をしている者と同じ所得保障の利益を与えると考えることはできない」と判断しました。無年金障害者の救済措置を国がとらなかったことについては、財政事情などを勘案した「立法府の高度の専門技術的な考察と政策的判断」とのべ、「不当な差別的取り扱いということもできない」との考えを示しました。
原告弁護団の南野雄二弁護士は、「血も涙もない判決。国側の主張を詳細にのべただけで、原告の実情や思いを一顧だにしなかった。制度の不備についてもまったく触れず、きわめて形式的、無情な判断だ」と批判。
原さんは、「残念で無念です。国や厚生労働省の言い分をそのまま聞く判決が許されるでしょうか。控訴してずっとたたかっていきたい。希望ある判決を求めたい」と改めて決意を語りました。