2006年1月21日(土)「しんぶん赤旗」
核兵器改良 実は「新型」
米政府、数十億ドル支出示唆
【ワシントン=山崎伸治】米国の核兵器を管理するエネルギー省国家核安全保障局のブルックス局長はサンフランシスコ・クロニクル紙十五日付のインタビューで、二〇〇六会計年度予算で承認された「信頼できる交代用核弾頭」(RRW)計画が事実上の新型核兵器開発につながることを認め、新たに数十億ドルもの支出が必要となることを示唆しました。
RRW計画はもともと、核弾頭のプルトニウムには手をつけず、非核部分の機器の交換や改良をするものとされています。しかしブルックス氏は、弾頭には「新しいピット(プルトニウムの起爆装置)が必要だ。溶解して、再度型にはめる必要がありそうだ」と述べ、プルトニウム部分も「改良」する考えを表明しました。
カリフォルニア大学が運営して、すでに新型弾頭の設計のコンペも始まり、ローレンス・リバモアとロスアラモスの両国立核兵器研究所が参加しています。
ブルックス氏は、同計画は弾頭を「設計し直す」ものだが、米国が「冷戦」時代に蓄積した「実証済みの設計」を踏襲するため新たな核実験は不要だと指摘。クリントン政権下で始まった核兵器備蓄保全計画は「際立った成功」であり、米国の核弾頭には今も「全面的な信頼」をもっていると述べています。
サンフランシスコ・クロニクル紙は、この間の研究の結果、プルトニウム弾頭の寿命がこれまでの予想以上に長く、約百年に及ぶことが明らかになっていると紹介。「古い弾頭が十分機能しているのに、新たな弾頭や製造工場に数十億ドルも使わねばならないのか」と疑問を呈しています。
米議会は、地中貫通型核兵器の研究・開発予算に二年連続で反対して削除させる一方で、RRW計画を承認し、当初事業に二千五百万ドルを計上しました。これに関して下院歳出委員会のトーシャー議員(民主党)は、「現存する兵器システムの範囲内で修繕するというものであり、それ以上ではない」とし、新型核兵器の開発ではないとクギを刺していました。