2006年1月19日(木)「しんぶん赤旗」
東証の売買全面停止
マネーゲームに侵された日本経済
東証の売買全面停止の直接の原因は、ライブドア関連会社の株価操作疑惑への強制捜査に続いて、ライブドア本体の粉飾決算の疑惑が浮上したことです。
商法や会社法などの規制緩和を背景に、ライブドアは人為的に株価をつり上げる株式分割を駆使し、上げ底の株高をてこに企業を買収して急成長を遂げてきました。実態を反映しない上げ底は、いずれ底が割れます。「立ち止まったらおしまいだ」と、新手の資金調達策や新たな企業買収を繰り返してきました。
「違法でなければ何をやってもいい」(ライブドアの堀江貴文社長)という市場の倫理を無視する姿勢が、法律の一線さえ踏み越える結果を招きました。
ライブドア以外にも違法かどうかの際どいところで、同様の経営手法を取っている企業がいくつもあります。
危うい「錬金術」は、マスメディアによって持ち上げられてインターネットで取引する投資家をあおり立て、株価をバブル的な水準に押し上げる推進力の一つとなってきました。
売り注文殺到の根底には、個別企業への不信だけでなく、現在の株価水準や市場のあり方そのものへの疑念が重なったことがあります。
堀江社長は自民党の全面支援を受けて昨年の衆院選に出馬しました。小泉首相は「エールを送りたい」と言い、竹中・現総務相は「小泉、ホリエモン、竹中で改革をやり遂げる」と応援演説しています。
ライブドアのようなやり方のはんらんは、日本の資本主義が退廃したマネーゲームに深く侵されていることを示しています。それを後押ししてきたのは、やみくもに市場の「自由化」を進めてきた自民党政府であり、小泉「構造改革」です。(平田和宏)