2006年1月16日(月)「しんぶん赤旗」
日本共産党第24回大会
志位委員長の結語
日本共産党第二十四回大会最終日の十四日、志位和夫委員長がおこなった大会議案と中央委員会報告についての結語は次のとおりです。
代議員のみなさん、評議員のみなさん、CS通信をご覧の全国の党員のみなさん、おはようございます。(「おはようございます」の声)
私は、中央委員会を代表して、討論の結語をおこないます。
■発言全体の共通の土台――新しい綱領への確信
三日間の討論で、五十八人の代議員が発言しました。討論での発言を希望した方は、二百二十七人にのぼります。用意した発言原稿があれば事務局にとどけていただきたいと思います。新しい中央委員会の責任で今後の活動に大いに生かしていくことにいたします。
発言は、どれも決議案と中央委員会報告にかみあい、それを深める、豊かな充実した内容の討論となりました。どの発言も、理とともに情――胸をゆさぶる感動とロマンにあふれていました。また困難にひるまない明るい不屈性が討論全体にみなぎっていました。
全体を聞いて、どの発言にも共通していた大きな土台を感じました。それは新しい綱領への確信であります。綱領は、情勢を長期の視野でとらえること、世界の流れのなかでとらえること、この大きな指針を、党にあたえるものとなりました。決議案と中央委員会報告は、この綱領に導かれ、この見地で情勢をとらえるならば、「自民党政治のゆきづまり」と「歴史的転機」という今日の時代的特徴がみえてくるということを明らかにしました。
この情勢論の核心が、みんなの共通の認識となった大会となりました。東京の代議員は、「決議案の『自民党政治のゆきづまり』という規定に、正直いってはじめはたじろいだが、討論と報告を聞いて、実感としてつかめた」と率直に発言しました。長野の代議員は、「山にかこまれて生活していると共産党が孤立しているように思えたが、大会に出席して孤立しているのはアメリカだということがよくわかった」と、長野の山々をしのばせる印象深い言葉で語りました。(笑い)
わが党が、新しい綱領を決定して二年がたちました。この指針は、決議案と報告にしめされたように、わが党が日本と世界の情勢分析をおこない、政治展望を見いだす導きになっているだけではありません。討論で豊かにしめされたように、全党の草の根の日常の党活動にとって血となり肉となりつつあります。
新しい綱領が全党に新しい視野と新しい活力をもたらしている、全党がこの科学的土台にたち、未来への夢とロマンをもちながら、同時に大言壮語ではなく地に足をつけた、たしかな足どりで前進を開始している――この大会は、そのことを生き生きとしめした大会となったのではないでしょうか。(拍手)
■全党討論をつうじて、党の認識がさらに豊かに発展した
この大会は、全国で六千人の党員がCS通信でリアルタイムで視聴し、一千通ちかい感想がよせられました。大会の討論でも、全国からの感想でも、共通して出されたのは、中央委員会報告が、全党討論で出された疑問や質問にかみあって、決議案を深めたことへの歓迎と共感の声でありました。
この大会にむけて、全国のみなさんの奮闘で、すべての党員に決議案をとどける努力がはかられ、支部、地区、都道府県と、討論がつみかさねられ、決議案が深められました。そのなかで、さらに解明をもとめる意見も多く出されました。その主なものはつぎのようなものでありました。
――侵略戦争の正当化と、日米関係の従属問題との関係をどうとらえるか。
――小泉内閣の経済路線を「新自由主義」と特徴づけたのは、どういう意味をもっているのか。
――アメリカの軍事的覇権主義と外交戦略との関係をどうとらえるか。
――選挙総括と大会決議案の関係はどういうものか。
――他党派との共同、統一戦線の展望をどうとらえるか。
――「労働運動の歴史的転機」とはどういう意味なのか。
中央委員会報告を準備する過程で、私たちは、全党討論で出された意見や疑問をつぶさによみ、それを正面から真剣に受け止めて、私たちとしても知恵と力をしぼり回答をしめしました。
たとえば「決議案での労働運動と職場支部の問題提起をもっとつっこんで解明してほしい」――この意見は多数よせられました。この声にたいして、私たちとしても大会に向けて、うんうんとうなりながら研究を重ねて、報告いたしました。私の報告でも力が入ってしまいましたが(笑い)、この問題については、討論の一連の発言でも、全国からの感想でも、「こんどこそこの分野での前進をかちとるぞ」という強い決意が返ってきたことは、報告者として大きな喜びでありました。
私は、この双方向の生きたプロセス全体をつうじて、党の認識がさらに豊かに発展したことを、会議の終わりにあたってつよく実感するものであります。ここに、民主集中制という、わが党の組織原則のもつ生命力がしめされています。二カ月におよぶ討論をつうじて、全党の英知を結集し、方針を練り上げる。大会をこんなに大切にし、それにむけて、これだけの民主的な運営をつくしている党が、ほかにあるでしょうか(拍手)。ここにも他党にはないわが党の特質がしめされていると考えるものであります。
■暮らしと平和のたたかいと日本共産党の役割が鮮やかに浮き彫りに
討論のいくつかの特徴についてのべます。
これだけ豊かで感動的な討論のすべてを跡付けるのは無理な話であります。私は、大会参加者のみなさんがおそらく共通して感じたであろうことを、いくつかのべ、討論をふりかえってみたいと思います。
第一は、いま、自民党政治のゆきづまりのもとで、暮らしと平和をまもる国民のたたかいが日本列島どこでも深いところからわきおこり、そのなかで日本共産党がかけがえのない役割を果たしていることが鮮やかに浮き彫りになった大会だったと思います。まさに、たたかう党としての日本共産党の姿が全面的にしめされた大会となったのではないでしょうか。(拍手)
国民生活の苦難が深刻なものとなっていることが、こんなに語られた大会はありません。とくに決議案でのべた貧困と社会的格差の拡大が急速にすすんでいることが、多くの発言で語られました。同時に、もうこの現状に我慢がならないと、この苦難を打開するエネルギーとたたかいが国民の深いところからわきおこっていること、そのなかで日本共産党がまさに“国民の命綱”としての役割を果たしていることが生き生きと語られました。
医療現場で働く代議員は、ホームレスの人々の来院が急増し、まさに命をまもる活動のなかで党が信頼を広げていることを語りました。地域で奮闘する代議員からは、就学援助をうける子どもたちが急増するなど、身近なところで貧困が深刻になるもとで、生活相談のとりくみに献身的にとりくみ、地域の暮らしのよりどころになっている姿が話されました。職場支部からは、職場の無法のひどさとともに、それを打開する労働者魂を発揮してのたたかいが各地でおこっていることが語られました。どこでも「国民の苦難あるところ日本共産党あり」の姿が光っていました。
いま「構造改革」の名でつくられつつある弱肉強食の社会、寒々とした競争がおしつけられる社会にあって、もしも日本共産党がなかったらどうなるか。まさに国民にとっての“命綱”――暗闇のなかの光明としての役割を果たしているのが日本共産党であります。これは討論を聞いた大会参加者の共通の思いではないでしょうか。(拍手)
そして社会的反撃のためには、相手の分断攻撃をはねかえす社会的連帯こそ大切であることが、さまざまな角度から語られました。社会的連帯で社会的反撃を――これはこの大会をつうじて、全党の合言葉になりました。これが今度は国民全体の合言葉になるように、社会的連帯のたたかいを、どの分野でも豊かに発展させるために力をつくそうではありませんか。(拍手)
平和をめぐるたたかいでは、全国各地の米軍基地強化反対の自治体ぐるみのたたかいとともに、憲法をまもるたたかいが力強く広がっていることが、討論で豊かに反映されました。報告では、全国で四千をこえる「九条の会」が広がったとのべましたが、その一つひとつの生きた姿、そのなかでの党の役割が語られました。
大阪の職場では、教育現場での「職場九条の会」が、小学校、中学校、高校、障害児学校で合計八十にまで広がり、それが労働組合運動の立場の違いをこえた共同のうねりにも発展しているという経験が報告されました。石川のタクシー職場では、憲法ステッカーを営業車に張り、「九条の会」に賛同するタクシー版アピール運動を広げ、二百四名の仲間の名をつらねたアピールをつくり、七百台のタクシーに広がっていることが語られました。これが広がり、全国のタクシーが「憲法ステッカー」を張って走ったら、どんなにすばらしい力を発揮するかと思いながら聞きました。東京の大学での加藤周一さんを講師にした「九条の会」の講演会の成功、京都の地域での網の目のような「九条の会」の広がりなど、まさに全国津々浦々からのとりくみの息吹が報告されました。
私は、憲法について、こんなにもたくさんの代議員が真剣に語った大会は、党の歴史でもかつてなかったのではないかと思います。わが党が、広い国民と語りあい、共同の輪を広げる努力をつくすなら、憲法改悪反対の国民的多数派を結集することは必ずできる――その展望がつかめた歴史的大会となった、このことも私は強調したいと思うのであります。(拍手)
■若い世代から、年配の世代まで、気持ちが一つにつうじあった大会
第二は、若い世代から、年配の世代まで、気持ちが一つにつうじあう大会になったということであります。
若者がたくましく成長する姿が、鮮やかに浮き彫りになりました。若い代議員がたくさん発言しましたが、そのなかでどんなに青年がいまの政治のもとで苦しめられているかが、生々しく告発されました。
若者が今直面している苦しみは、人間らしい雇用が根本から破壊されているなど、生活の苦しみだけではありません。討論で、こもごも語られたように、その生活悪化の責任を、青年自身の「自己責任」であるかのように強制され、思い込まされ、人間としての誇りや尊厳を傷つけられ、ふみにじられている苦しみ、自己を否定されるような苦しみ、この二重の苦しみだということが、切々と語られました。この若い世代の苦しみを打開し、希望ある未来をひらくことは、日本共産党全体の、まさに党をあげてのとりくみがもとめられるということを痛感させる討論であったと思います。(拍手)
このなかで青年みずからが連帯の輪をつくりあげながら、自らの力で現状を打開しようという感動的発言がつづきました。競争、分断、差別のなかで傷つけられている青年の思いに心をよせて、人間的な連帯をきずいていった千葉の代議員、島根の代議員、岡山の代議員など、青年の代議員の発言は、どれも心を打ちました。そして京都の学園の代議員が発言したように、新しい綱領と科学的社会主義の立場が、青年の知的関心、生き方の模索にこたえる大きな生命力をもっていることもまた、討論で生き生きと語られました。若い世代の中でわが党が大きく発展する条件と可能性がこんなに広がっているときはありません。ぜひこの分野での壮大な前進を開始する大会にしていこうではありませんか。(拍手)
大会代議員で最高齢、八十歳七カ月の鳥取の支部長の発言は、感動的でした。「二度とあの戦争を繰り返してはならない」との決意で、戦争を語り、若者に語り、憲法を語る活動に生き生きととりくんでいることを、背筋をピンとのばして生き生きとのべる姿には、若さが輝いていた発言でありました(拍手)。党歴五十六年ということですから、私が生まれる前から(笑い)、奮闘されてきた同志であります。日本共産党員は、年齢を重ねても若々しいことを感じさせる発言でありました。
今度の大会では、年配の代議員、ベテランの代議員の、若々しい奮闘もみんなの心を打ちました。職場を退職した後、地域のリーダーとして奮闘している代議員の発言は、どれも長年にわたってきたえられた力を感じさせるものでした。
戦後の日本をつくり、今日の党をつくってきたベテランの世代、年配の世代が、いまも第一線で奮闘しているのは、わが党の誇りであります。(拍手)
他の党はといいますと、世代交代といえば、世代間の足のひっぱりあいが普通であります。国民の中に分断を持ち込む人たちは、自分たちの中にも分断と対立をつくっているわけでありますが(笑い)、日本共産党は、そういうものとは無縁であります。わが党は、社会進歩という共通の志でむすばれ、世代をこえて心が一つになる。ここにも日本共産党のすばらしさを、代議員のみなさん、評議員のみなさんは感じられたのではないでしょうか。(拍手)
■強く大きな党づくりへの大道が浮かび上がった大会
第三は、強く大きな党づくりへの大道が浮かびあがった大会だったということです。
新しい綱領をすべての党員が身につけ、「政策と計画」をもった「支部が主役」の活動を全党に広げきれば、かならず強く大きな党がつくれる――これが大会参加者のみんなの共通の確信になったと思います。
「政策と計画」をもった活動に正面から、粘り強くとりくむなら、どんな困難をかかえた支部でも必ず進んだ支部に変わる。このことが、たくさんの発言で語られました。
山形県の居住支部の代議員は、一年半前に、職場を退職して支部長になったときには、長期に支部会議が開けない状態だった。しかし、一昨年の二中総後の支部総会で、最初は八項目の簡単なものだったけれども「政策と計画」をきめた。この八項目が出発点となり、通学路の除雪など地域の要求をとりあげて住民とむすびつき、週一回の支部会議をやがて定着させ、支部の綱領学習をおこない、みんなが仕事をわかちあう支部活動をつくって、党勢拡大で前大会比で日刊紙130%、日曜版220%、そして党費納入は100%に前進したという経験を話されました。これらは一つひとつを見ますと、地道な活動です。あたりまえのようにみえる努力です。しかし、それをコツコツと積み重ねていく。この大道にたって活動すれば、かならず大きな党はつくれる。これが今度の大会の討論でしめされたと思います。
いま一つ、「政策と計画」をもった活動は、むずかしいことではない。どの支部にもできる。党活動の自然な発展方向であり、法則的な発展方向だということが討論で浮き彫りになりました。
兵庫の代議員は、「就学援助をうけている児童が半数をしめるなど住民の生活は子どももふくめて大変になっています。党員の生活も深刻です。『政策と計画』を要にすえることは、住民一人ひとりの悩み苦難からスタートすることであり、一人ひとりの党員を大切にする活動でもあります」とのべましたが、私はこの発言は、この方針の真髄をとらえたものだと思います。住民と党員が心をかよわせ、ともにやむにやまれぬ要求を協力して実現する活動が、「政策と計画」の出発点にほかなりません。
このなかで党勢拡大は、独自の努力が必要です。ただこれも難行苦行(笑い)ではない。この大会ではいくつかの名文句も生まれました。
和歌山の福祉職場で働く青年の代議員は、入党のよびかけで、「きびしい情勢と現場だけみていたらしんどくなる。国政を変えることを夢みて運動したらすごく楽になる。君を楽にしたいんよ」と語っているとのべました。
京都の医療現場で働く代議員は、医療相談、生活相談でむすびついた人々に自然に入党、購読の訴えをしている気持ちを、「私ほど恵まれた党員はいないのではないか。みなさん拡大が苦痛といわれる方もおられるが、私はそうではありません。日常的にかかわった人々と信頼関係をきずき、この人はと思った方は99%の確率で購読を約束してくれます。ひとりでも多くの方々にかかわれる喜びを味わっています」と語りました。
兵庫の姫路の代議員は、支部で「拡大すごろく」をつくって、楽しくとりくんでいる様子を実物つきで(笑い)、発言しました。拡大がすすむごとに新幹線の駅が一つ動く。新幹線で姫路から熱海まできて、京都まで折り返したということでありました。ぜひ無事に(爆笑)、姫路まで帰れることを心から願うものであります。(笑い、拍手)
ほんらい拡大というのは、同じ志にたって歩む、かけがえのない仲間をふやすということです。ここには大きな喜びがあります。親しい人に入党を働きかけて、「いっしょにがんばります」。この声が返ってきたときほどうれしいことはないと思います。京都の代議員は、「喜びを味わう」とのべていましたが、この境地にまで全党が到達すれば(笑い)、この運動にすばらしい発展がおこることは間違いないと確信するものであります。(拍手)
福島県・広野町に移住して空白克服をめざす代議員の発言は、深い感動をあたえました。まさに日本共産党員の原点ここにありをみる思いでありました。たんたんと話すわけですね(笑い)。そこがまたいいわけですが(笑い)、そこに活動姿勢があらわれていると私は聞きました。その活動のすべてが教訓的でしたが、とくにみんなの心に残ったのは、「『お茶を飲んでいきな』『野菜を持っていくけ』という言葉を決しておろそかにしてはなりません」(笑い)。ここだったと思います(拍手)。空白の町に一人とびこんで、人間と人間とのあたたかい交流の関係を、こつこつとつくりあげる。それができたら、あらゆる豊かな党活動の発展の土台がつくれるし、それはまた、わが党のあり方そのものでもあるということを教えてくれる発言だったと思います。(拍手)
すべての支部が「政策と計画」をもち「支部が主役」の活動を――この政党としての大道、党活動発展の大道に、執念をもやして全党がとりくもうではありませんか。そのとりくみのなかで党勢拡大を持続的・安定的な前進の軌道に必ずのせて、来年の四月までには全党的に「五〇万の党員」「三割増の読者」をやりとげて、どんな情勢が展開しても自らの力で風をおこし、いっせい地方選挙、参議院選挙で本格的な前進をみんなの力で必ずかちとろうではありませんか。(拍手)
■「衆議院小選挙区選挙供託金支援基金」と財政活動について
「衆議院小選挙区選挙供託金支援基金」も大会の議題の一つとして議論されました。
大会の討論でも、この提案に積極的に賛同する意見が、滋賀・湖南地区の代議員、福岡県の代議員などからよせられました。
湖南地区の代議員は、地区委員長として草の根の力に依拠した財政活動に情熱をかたむけて前進させた経験を報告するとともに、そのなかで「供託金支援基金」に積極的にとりくむ決意をのべました。その代議員が「民主党本部の集めた個人献金が年間たったの三十六万八千円。笑ってしまいます。地区にはそれ以上集めている支部がいくつもある」とのべたのは痛快でありました(拍手)。財政問題は担当者、一部門の問題ではありません。財政活動でも草の根の力に支えられているという特質は、決議案でも強調しているようにわが党の国民に誇るべき特質であって、全党が力をあわせてとりくむべき課題であります。その重要性が伝わってくる発言でありました。
なお「供託金支援基金」は、「すべての小選挙区での候補者擁立をめざす」ことを財政的に保障するものですが、決議案は、小選挙区の全区立候補を一律に義務づけているものではありません。「すべての小選挙区での候補者擁立をめざす」が、同時に、候補者を擁立するかどうかはあくまで都道府県の自主的な判断でおこなうというのが、決議案の提起であります。「供託金支援基金」は、「全国は一つ」の見地で、このとりくみを全体として促進し、励ますというところに眼目があります。この「基金」を成功させるために、みなさんの賛同と協力を重ねて心から訴えるものであります。(拍手)
■海外からの参加者との連帯と交流
この大会には、外国来賓が最終的には、十八カ国二十一政党三十三人、個人来賓一カ国一人、在日外交団十六カ国二十人が参加してくださいました。これは前大会を大きく上回るものでありました。わが党の野党外交が広がり、新しい海外の友人が広がったことが、こういう目に見える形でもしめされたことは、ほんとうにうれしいことであります。(拍手)
これは大会参加者にとっても、全国でCS通信で大会を視聴した党員のみなさんにとっても、大きな励ましとなりました。全国からの感想でも、「海外代表の参加の多さ、五大陸からの参加者に感動した」という声が多数よせられました。
こういう活動をやっている政党は、日本ではほかにありません。ある在日外交団の参加者は、私たちとの懇談のなかでつぎのような感想をのべていました。
「大使館員がこのような場に来て政党と対話することは大切です。それぞれの政党の立場や政策を理解するうえで、日本共産党のこのようなイニシアチブを称賛します。他の党はどこもこのようなことをやっていません。願わくば他党も日本共産党にならってほしいものです」
それでは海外からの参加者のみなさんは、大会をどうみたか。
いろいろと感想をうかがいました。一つは、大会参加者の規律正しさ、真剣さ、そして団結に、強い印象をうけたという感想が、まず多く返ってきました。
とくに規律と団結に驚きの声がよせられました。定刻どおり始まる(笑い)。定刻の前から、みなさんが集まって熱心に準備をしている。ある海外代表は、「日本の党の規律正しさは、わが国では考えられない」と驚嘆の声をよせました。ある海外代表は、「非常な規律と集中力で議論に耳を傾けている。ほとんどの代議員が、他の代議員の発言を居眠りなどせず(笑い)、ノートをとっている。これは、私にとって大きな刺激だ」。こういう感想をよせました。
大会の雰囲気の明るさに強い印象を受けたという声も多くよせられました。ある海外代表は、「われわれの党の大会は、演説の大会だが、日本共産党の大会は笑いの大会だ(笑い)。代議員が討議にたいへん集中している。しかも単に聞いているだけではなく、それを追体験している。だから生き生きとした笑いになる」。みなさんが笑うことへの分析まで(爆笑)、的確にした評価であります。(笑い、拍手)
海外代表からよせられたいま一つの感想は、決議案と中央委員会報告、討論の内容そのものに、政治的立場や宗教的立場の違いをこえて、共鳴したという声でした。とくに決議案と報告がおこなったアメリカの分析、東アジアの分析、ラテンアメリカの分析、それぞれにたいする党の立場に関心と共感が広くよせられました。
ある政権与党の代表は、「アメリカはよくないと思っているが、正常な関係をもつように努力している。そのなかで、日本共産党のアメリカ論はたいへん参考になった」という感想をよせてくれました。
アジアから参加した外交団からは、「アセアンに関心をもっていただいて感謝している」という声とともに、「日本は当たり前の主権国家になってほしい。それが自分たちの願いだ」、「東アジアの共同体に、日本はもっと積極的な立場をとってほしい。とりわけ日本と中国、韓国との関係を改善しないと、共同体づくりの障害になりかねない」という日本外交の現状への率直な声もよせられました。
ラテンアメリカから参加した海外代表からは、「アジアで活動する党が、地球の裏側のラテンアメリカについて長時間をさいて、深い分析をしたことは、うれしかった」。「ボリビアでも勝利した。大きく南米の情勢は変わっている。この勢いでいけば今度は北米も変わる」(どよめき)。こういう声もよせられました(拍手)。同時に、東アジアの平和と進歩の流れについて、「アジアについてこういう深い進行があることをはじめて知った」という驚きの反応もよせられました。
ヨーロッパから参加した海外代表は、「中央委員会報告は、私たちの考えや感情とぴったりとくるものだった。過去のソ連時代の問題を克服したことが将来への展望の基礎となっているというのは、まさにそのとおりだ。これほどまでにいごこちのよい大会ははじめてだ」と語りました。
これらは、世界をどうみるか、世界にどう働きかけるかについての日本共産党の立場――新しい綱領の立場が、世界の多くの人々に政治的な立場や、それぞれの国の発展や条件でさまざまな違いがあっても、当たり前のこととして受けとめられるまさに普遍的立場である――いわば世界の公理にたっていることをしめすものだと思います。
そして感謝をこめてのべたいのは、海外からの参加者のみなさんが、最後まで真剣に討論を聞いてくださったということであります。(長い拍手)
ある海外代表は、一人ひとりの発言を詳細にメモをとり、「この何番目の発言者の名前のファミリーネームのスペルはこれで正しいのか」(笑い)と、そのノートをみせながらスペルチェックまでもとめる熱心さで、この討論を聞いてくださいました。
通訳にあたった同志の奮闘もあって、一緒に笑っていただき(笑い)、みなさんの涙腺がゆるむときには(笑い)、一緒に涙を流してくれました。海外の代表のなかには、けさの三時に起きて、一緒に「しんぶん赤旗」の早朝配達をしたという(どよめき)、そういう方もおられます(拍手)。その方の感想は、「自分の父親と同じ年齢の方が、二十五年間つづけて配達していることに感動した」というものでした。配達の活動、集金の活動は、粘り強い本当に地道な活動ですが、それを長年続けていることの尊さが、海外の方からも評価されたことを私は心からうれしく思うものであります。(拍手)
海外の代表のみなさんの真剣さ、熱意が、大会参加の代議員・評議員のみなさんにも伝わり、深い連帯の感情がつくられました。
海外からはるばる参加され、最後まで熱心に討論を聞いてくださったみなさん。みなさんは、大会成功に絶大な貢献をしてくださいました(長い拍手)。みなさんと私たちの間に深い友情と連帯の絆(きずな)がつくられました。私は、心からの感謝をもうしあげたいと思います。(拍手)
■決議案の修正・補強について
つぎに全党討論、中央委員会報告、大会での討論をふまえて修正・補強した決議案を提案いたします。手元に文書で修正・補強した決議案が配布されておりますので、それを見ながらお聞きください。
主な修正・補強個所はつぎのとおりです。
――第一章第2節。侵略戦争の正当化の問題についてのべた部分ですが、決議案発表後の一連の東アジアにおける国際会議をつうじて、日本外交の孤立が一段とすすんだことを明記しました。昨年末、日中、日韓のあいだでまともな首脳会談もできなくなるという、日本外交の孤立化の局面が質的にもさらに一歩深刻になったという事態がすすみましたので、決議案にも補強いたしました。
――第一章第3節。「米軍再編」の問題について、原案を補う形で、アメリカ・ブッシュ政権の「米軍再編」の地球的規模での特徴について補強しました。さらに日米の軍事一体化が、従属的一体化であるということ――対等な国どうしの軍事一体化ではなく、アメリカの目したの軍隊として、米軍の指揮下に自衛隊が組み込まれる形での一体化なのだということを明記いたしました。
――第一章第4節。貧困と社会的格差の新しい広がりの原因をのべた部分です。原案では「人間らしい雇用の破壊」ということをその原因として指摘しておりますが、同時に、「連続的におしすすめられた税制・社会保障切り捨て」もその原因となり、また事態悪化に拍車をかけていることを補強しました。ほんらい所得の再分配の機能を果たすべき税と社会保障が、所得の格差拡大に追い打ちをかけるような異常な「逆立ち」した事態となっている。この問題を指摘しました。
――第二章第5節。アメリカをどうみるかという問題です。アメリカの一国覇権主義の基本は変わらないが、外交戦略ももって対応することも模索しているということを決議案でのべたわけですが、それが米中首脳会談での「建設的協力関係」の確認、「ASEANと米国との協力強化に関する共同ビジョン声明」での「TACの精神と原則を尊重する」などの確認によって、短期日のうちに裏付けられました。この問題について補強いたしました。
――第二章第6節。日本共産党の野党外交について、決議案発表後おこなわれた中国共産党との理論交流の意義と、国際的な理論交流を野党外交の重要な分野として位置づけ、いっそう発展させるという立場について、補強いたしました。
――第三章第9節。政党論の冒頭の部分です。この間の自民・民主の「大連立」をどうみるか、書いてほしいという要望がありました。これを、端的に記述しました。「自民・民主の『大連立』がたえず問題になっているが、政治の中身のうえでは、すでに両党は事実上の『大連立』状態にある」ということであります。それから、公明党の役割についてもぜひ言及してほしいという意見が多数ありました。中央委員会報告をうけて、公明党の果たしている反国民的な役割、党略性について指摘するという形で、叙述を補いました。
――第三章第10節。憲法の部分です。「米国からの改憲圧力が一段と強まるとともに、日本経団連が憲法改定の提言を発表するなど、公然と旗ふりを始めている」と補強しました。憲法改悪の起動力はアメリカとともに日本の財界にもあります。昨年一月に日本経団連が憲法九条と九六条の改定にしぼって、「まずここから突破せよ」と号令をかける重大な提言をだしております。この動きを明記しました。
また、この節では、直面する国民投票法案の強行を許さないたたかいにとりくむこと、憲法をめぐるたたかいが「二一世紀の日本の進路を左右するばかりでなく、世界とアジアの平和秩序にもかかわる歴史的闘争」であるという闘争の位置づけなどについても補強いたしました。
――第三章第10節。全党討論の中で、「マスメディア対策について言及してほしい」という声がよせられました。これについては、「マスメディアへの積極的で効果的な対応をおこなう」ということを書きました。ただ、これは相手があることですから、こちらが「積極的で効果的な対応」をやっても、思うようにいくとはかぎりません。この問題については、自力でわが党の姿を広く伝えきる、自力で風を起こすということが何よりも大事です。その最大の力は、「しんぶん赤旗」の読者を広げることであり、支部を基礎にした草の根からの宣伝・組織活動を強めることでありますから、その見地をしっかりふまえて、この問題にとりくむ必要があるということをとくに強調したいと思います。そういう趣旨の記述をいたしました。
――第四章第14節。男女平等の前進にむけたとりくみについてです。これは、全党討論のなかで、この問題について、ぜひまとめて記述してほしいという意見がありました。もっともな意見であります。日本の女性の社会的地位の低さ、平等の遅れは、国際的機関からもくりかえし批判され改善が強くもとめられている、日本社会全体の根本問題です。これも日本の異常性の一つであります。それを告発し、男女平等の前進のために奮闘する党の立場をまとめて明記しました。
――第五章第15節。ここでは党建設の到達点と目標について補強しました。これは中央委員会報告でものべた「大運動」の到達点、二〇〇七年四月までに「五〇万の党員」「三割増の読者」をやりきるという目標を明記しました。
――第五章第16節。綱領学習の位置づけについて、「綱領学習は、党員が不屈性と先見性を発揮して活動する最大の土台となるものである」という一文を補強いたしました。
――第五章第16節。「政策と計画」の内容についてであります。中央委員会報告ではそもそも論を解明いたしました。まだこれをもっていない支部がどうつくり、もっている支部もどういう観点で充実させるか。これが大事になってきます。政治目標と得票目標をもつこと、「政策」をもつこと、「計画」をもつこと、そのなかで後援会活動を位置づけることなどについて、報告でふれた要素ですが、決議案のなかにも書き込みました。大会の代議員の発言のなかでも、五章に後援会活動を明記してほしいという声がありましたが、その声にもこたえる形でそれを補強しています。
さらに討論をふまえて、「支部と党員がまわりの人々と日常的に広く深く結びつくことは、あれこれの党活動の手段ではなく、それ自体が党の活力の根本にかかわる問題であり、党の基本的なありかたにかかわる問題として、重視されなければならない」と補強しました。これは「政策と計画」にもとづく党活動をすすめるすべての考え方の土台にある党のあり方として、この大会での討論もふまえて補強した問題であります。
以上が、主要な修正・補強点であります。そのほかにも字句上の修正、部分的な修正は多数あります。全党のみなさんからよせられた修正、補強意見は、中央委員会として一言一句詳細に検討を重ねて、修正・補強の作業をおこないました。
この大会での最大の任務は、新しい綱領を情勢の発展のなかで具体化した大会決議をつくりあげることでしたが、その案は、全党の英知を結集して立派に仕上げられたと確信するものであります。(拍手)
以上をもって討論の結語といたします。(大きな拍手)