2006年1月15日(日)「しんぶん赤旗」
ウォルマートに健康保険料義務づけ
全米初 メリーランド州
【ワシントン=山崎伸治】米メリーランド州議会下院は十二日夜、米最大の小売りチェーン店ウォルマートに従業員の健康保険料負担を義務付ける「健康保険公平負担法案」を賛成多数で可決しました。
同法は、従業員一万人以上の事業所に対し、給与総額の8%以上を健康保険料に充てるか、州の低所得者健康保険事業に収めるかを義務付けるというものです。メリーランド州では、ウォルマートとその傘下にある四十の店舗で約一万七千人が働いています。
同州のアーリック知事(共和党)は昨年、この法案に拒否権を発動しましたが、今回、上下両院ともそれを覆しました。同様の法案は約三十の州で検討されており、採択したのはメリーランド州が初めてです。
ウォルマートは安売りで急成長をとげる一方、労働者に対しては組合の結成を認めず、低賃金・低給付を押し付けてきました。その結果、同社で働きながら、低所得者医療補助制度である「メディケイド」など、さまざまな公的補助制度に頼らざるを得ない従業員がいます。
同社の横暴を追及する民間団体ウォルマート・ウオッチによると、メディケイドやフード・スタンプ(食料切符)などの公的補助制度を通じて、ウォルマートの従業員には毎年約十五億ドル(約千七百四十億円)が支払われているといいます。本来会社が負担すべきものを税金で肩代わりしています。
ウォルマート・ウオッチのアンドルー・グロスマン執行委員は「年間百億ドルもの利益を上げる会社が、従業員の半数に健康保険を提供していないというのは許されない」として、メリーランド州議会の動きを歓迎しています。