2006年1月13日(金)「しんぶん赤旗」
日本共産党第24回大会 来賓あいさつ
十一日から始まった日本共産党第二十四回大会では国内十二氏が来賓あいさつする予定です。第二日の十二日、九氏があいさつしました。要旨を紹介します。
■亡国政治かえる国民多数派を
■平和・民主・革新の日本をめざす全国の会代表世話人 栗原 透さん
全国革新懇は今年、結成二十五周年を迎えます。国政革新を直接の目標にかかげるとともに、憲法や平和を守る運動、切実な要求課題で無党派の人たちと日本共産党の共同を軸に、世論と運動を広げているところです。
大会決議案は地域・職場の網の目に革新懇をつくり発展させることを「綱領的な任務」と位置づけられました。私たちは限りなく励まされています。全国革新懇が文字通り国民的多数派の力をもつ組織に発展するため、日本共産党のみなさんが総力をあげてくださることを心から期待するものです。
自民党政治は八方ふさがりです。イラク派兵、在日米軍基地再編、庶民大増税と社会保障大圧縮計画、戦争国家体制づくりの憲法改悪など、反国民的政治が目白押しです。同時に、憲法でも基地でも、増税でも国民の間で大きなたたかいが広がっているのも重要な特徴です。
「邪は正に勝たず」。この日本の危機を救うことができるのは日本共産党以外にないと確信いたします。それゆえに二〇〇七年の政治決戦は確実に勝利することを強く訴える次第です。今度こそ躍進の絶好のチャンスだと思うのです。
高知県では総人口の82・4%のところに「九条の会」を立ち上げ、勇敢な運動を展開中です。自民党の元・現職議員など多彩な顔ぶれで“村、町、県ぐるみ”の運動をめざしているところです。これらの組織、運動づくりを共産党と革新懇は力を合わせて準備をすすめてきました。九条は日本だけでなく平和を願う世界のすべての人々の共通の宝です。全力投球を切に期待してやみません。
■未組織労働者の結集へ全力
■全国労働組合総連合議長 熊谷 金道さん
全労連幹事会を代表しお祝いと連帯のあいさつを申し上げます。日本共産党の大会決議案で特別に強調された労働組合運動の課題に触れながら、決意をこめたあいさつとさせていただきます。
第一は、財界や大企業に影響力をもつ労組の確立が、運動の強化・発展に不可欠の課題となっていることです。私は大企業内の日本共産党のみなさんのご活躍に片思いの期待をのべることしかできません(笑い)。しかし大企業や関連企業には正規従業員の三割から四割の非正規労働者が未組織のまま放置され、大企業の労組組織率は十年間で10ポイント以上も後退しています。私たちは日本共産党とも協力・共同を強めながら組織化を本格的に追求したいと思います。
第二は、決議案でも触れている未組織労働者の組織化の課題です。全労連と労働総研の調査でも未組織・未加入労働者の78%が「労組は必要」と答え、その20%、二十代では26・4%が「加入の意向」を示しています。単純にいえば未組織労働者三千五百万人中、七百万人の組織化が、まずは可能です。しかし労組加入を「勧められたことがない」も20%。これらの結果は、積極的に未組織労働者、とりわけ青年層への働きかけを行えば、前進の条件は十分にあることを示しています。
厳しい情勢下、昨年は日本医労連やJMIU、福祉保育労など、いくつかの単産や地方組織で純増に転じる成果をかちとっています。私たちは組織拡大こそ最大の要求闘争として、今後も全力を挙げる決意です。この点でも、地域・職場での日本共産党との協力・共同の強化は大きな成果に結びつくことと思います。
■青年の連帯強め反撃したい
■日本民主青年同盟中央委員長 姫井 二郎さん
私たちは昨年十一月に全国大会を開き、三つの事に力を入れています。
一つは要求を掲げてたたかうことです。
雇用の運動では、三年連続で千人規模の全国青年集会を成功させ、青年ユニオンは東京をはじめ山梨や静岡、三重など各地に広がっています。
平和と憲法を守る運動も、高校生たちが千人規模の集会を成功させ、九条を守る学生の会が全国四十以上の大学につくられています。
第二に、学校でも職場でも競争に追いたてられ「自己責任」を問われる世の中で、一人ひとりを大切にし、仲間を大事にした活動です。
過労でうつ病になった大阪の青年は、会社に未払い残業代の支払いを求めて一人でたたかい、「自分は反社会的なことをしているんじゃないか」と悩んでいました。そこで民青の仲間と出会い、「あなたは悪くない。今の社会が悪いんだ」と聞き、救われたと言っています。
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」の精神で社会的連帯を強め、小泉構造改革に立ち向かっていきたいと思います。
第三に、活動を支える学習に力を注ぐことです。前回党大会以降、二回の民青の全国大会での不破議長、志位委員長の講演をもとに、青年の心をとらえた四つのパンフをつくりました。
昨年、青年たちとベネズエラに行き、ベネズエラの青年たちが、政治が変わって目を輝かせ、未来が輝いていることを知りました。志位さんが昨年十一月の民青全国大会で「日本は夜明け前だ」と話しました。ともに日本の夜明けをつくり青年の未来を開く先頭に立って奮闘する決意です。(拍手)
■9条守ることが国民の願い
■憲法改悪阻止各界連絡会議代表幹事 吉田 健一さん
憲法会議は昨年、結成四十周年を迎えましたが、今日のように憲法改悪の動きが現実味を帯びて迫ってきたことはかつてなかったことです。
とりわけ、自民党が新憲法草案を決定したことは改憲の動きが新たな段階を迎えたことを示しています。憲法九条二項を削除して集団的自衛権を行使し広く海外で武力行使できるようにする、米軍と自衛隊を再編し一体化させる日米安保体制の強化が具体化されようとしています。
それは、かつての侵略戦争への反省をかなぐり捨てるばかりか、武力によらない平和解決を求めている世界の流れに逆行するものです。
さらに問題は、改憲を実現するために必要な国民投票法案を国会に提出する準備が公明党や民主党も含め進められていることです。しかし、毎日新聞の世論調査でも九条改憲に賛成は30%、反対は62%です。憲法九条を守ることこそ国民の強い願いです。「九条の会」のよびかけへの共感が思想・信条を超えて大きく広がり、地域や分野別の同会が四千を超えるに至ったのもその表れです。
いま改憲を阻止するために、このような共同行動を広げるとともに、憲法九条の大切な意義を国民一人ひとりに訴え、「九条の会」のアピールを大胆に広める活動が不可欠です。そのためにも、憲法九条の先駆的価値を学び、人類の進歩の歴史に背を向ける自民党の「新憲法草案」を批判する学習・宣伝が重要になっています。
憲法会議は、憲法改悪阻止という組織の存在意義をかけてたたかいます。国民的な壮大なたたかいへ日本共産党のみなさんが、けん引車の役割を発揮されるとともに、今大会の成功を期待し連帯のあいさつとします。
■住民参加のまちづくり7年
■長野県木曽町町長 田中 勝己さん
昨年十一月に行われた町長選挙は、非常に厳しい選挙でした。合併後の選挙で、旧木曽福島町が一番大きな町とはいえ、他の三村のうち日本共産党の議員のいるのは一村だけ。しかもこの村を含めて、ほとんど党組織がありませんでした。
今回の選挙の勝因は、第一に、合併にたいする対応です。四年前の二度目の町長選挙のとき、自治と個性を大事にした「合併に関する田中試案」を提案し、合併協議会で「田中試案ならいいではないか」という空気が周辺町村にできました。合併が決まってからは、三村の村長から「新しい町は、あんたがやってくれ」と言われました。
第二は、七年七カ月の木曽福島での町づくりの実績です。七年前に町長になったとき、町民の心に灯をともそうと、総合計画を住民参加で二年がかりでつくりました。この四年間は、この計画にそった町づくりを進めました。
第三に、選挙の責任者の問題がありました。県職の幹部が対立候補で出ることがわかり、慌てて選挙準備に入りました。そこで、選挙の責任者を自民党の大物である隣村の元村長に頼むことにしました。私は決意を固めて電話をし、一時間話しました。十日ほどして、「田中の理念に感動した」と引き受けてくれました。この人は、「いつから共産党になったんだ」と言われたそうですが、動揺しませんでした。
町は、日本のふるさとにふさわしい条件を備えていると確信しています。新自由主義の嵐の中で、人々の心が安らげる町を、木曽川の上流、水源地帯に築きたい。みなさん方もぜひ一度お出かけくださるようご案内申し上げてあいさつとします。
■農業つぶす政治克服めざす
■農民運動全国連合会会長 佐々木健三さん
自民党の悪政により日本の農業と農山村が崩壊の危機に直面するなかで、日本共産党が唯一、農業を守り、綱領で、農業を基幹的な生産部門と位置付け、国民生活の安定と食料自給率向上のために奮闘されていることは、私たちの運動に大きな励ましをもたらしています。
政府は昨年、農業版「構造改革」の具体化として、「品目横断的経営安定対策」を発表しました。価格保障制度を全廃、「担い手育成」の名のもとに圧倒的農民を農政の対象から外すというものです。農協解体や株式会社が農地を所有できるようにする農地制度の解体までもくろんでいます。
「農業構造改革」のゴリ押しは農業関係者や自治体などから怒り、不安、戸惑いの声が噴き出し、矛盾をますます鋭くしています。本質を広く農民と国民に知らせ、たたかいに全力をあげます。
昨年末、政府は国民の健康と安全を無視して、アメリカ産牛肉の輸入を解禁しました。アメリカいいなり、大企業いいなりの異常という点で象徴的なできごとでした。
BSE(牛海綿状脳症)や輸入農産物の激増、価格の暴落問題でも、食糧危機や飢餓の増加でも、アメリカなど農産物輸出国と多国籍企業の利益中心のWTO(世界貿易機関)体制に行きつきます。昨年の香港でのWTO閣僚会議は失敗に終わりました。世界の農民のたたかいの前進、途上国の団結に確信をもち、「WTOは農業と農家から出ていけ」を大きな世論にする決意です。
閉そく感が漂う日本社会にあって日本共産党は国民にとって希望ある存在です。大会を期してますます発展されることを心より期待します。
■業者追い詰める重税と対決
■全国商工団体連合会会長 国分 稔さん
大会決議案では「年間四千人をこえる中小零細企業の経営者が、経営苦などから自殺に追い込まれている」と指摘しています。小泉内閣の悪政のもとで、中小業者の営業とくらしはいっそう深刻な事態となっています。
とりわけ改悪消費税の影響は大きく、全商連の二〇〇五年下期の営業動向調査の「ひとこと欄」でも「消費税分はどこからも出てこない」など不安と憤りが広がっています。「滞納するのは悪い人間。会社をつぶしてでも税金を払え」などの税務職員の暴言も各地で相次ぎ、個人市町村税や国保料(税)を県税職員が一体で強権的に徴収する動きも広がっています。
医療の連続改悪とともに、消費税と所得税で二十四兆円ともいわれる空前の大増税計画が進められていることは重大です。大増税に反対する世論と運動を強め、政府税制調査会答申に消費税増税を盛り込ませないたたかいを大きく広げます。
庶民大増税の問題では、怒りとともに民商の署名に大きな賛同が寄せられ、マスコミの論調にも「大企業減税はおかしい」といった変化が生まれています。日本商工会議所や日専連などの業者団体、全労連、連合などの労組も庶民増税への反対を明確にしています。
民商・全商連は五月に開催する第四十七回総会を新たな高揚のなかで迎えようと奮闘しています。中小業者が生きていくためには悪政を変えなければなりません。当面する諸要求実現も、日本共産党議員団の存在を抜きには考えられません。
庶民大増税と憲法改悪を阻止し、国民と中小業者の営業とくらしを守り、未来への展望を示す先頭に立つことを期待し、あいさつといたします。
■女性は平和・憲法の担い手
■新日本婦人の会会長 高田 公子さん
男女平等・女性の地位向上や少子化対策など、具体的解決の方向を示し、先頭にたって奮闘されている日本共産党は、国民、女性にとってなくてはならない存在となっています。
昨年十一月の私どもの大会には市田書記局長にお越しいただき、「今の日本社会のなかで女性たちに勇気を与える希望の星」と過分な言葉をいただきました。
大会をめざした二カ月間で一万二千人の会員、読者二万三千人を迎えました。小泉「構造改革」の国民いじめが広範な女性たちのなかに子育てや老後、暮らしや雇用の不安を広げ、新婦人が待たれていると実感しました。何よりも命をはぐくむ女性たちの平和への熱い思いが仲間づくりに実ったのだと思います。
日本国民の憲法九条に寄せる潜在的な理性が、私たちのがんばりいかんで大きく表面にでてくる新しい情勢が生まれつつあると痛感しています。
新婦人は草の根の平和の担い手としてユニークな活動を広げています。長野県の人口六千人の村で、二人の会員が七カ月間準備し、村長や村議会議員、村の有力者など二百人の賛同で「九条の会」を結成しました。村長夫人は新婦人に入会し、班が誕生しました。(感嘆の声、拍手)
新婦人は国連の特別協議資格をもつNGOに承認されて二年半、世界の女性団体と交流し、「人類に与えられた贈り物」である日本国憲法を守りぬく決意を深く心に刻んできました。
このたたかいに成功すれば、命、人権が大切にされるもう一つの希望ある日本をつくれるのではないでしょうか。ご一緒に頑張る決意を申しまして、あいさつとさせていただきます。(拍手)
■核・非核 力関係変える署名
■原水爆禁止日本協議会事務局長 高草木 博さん
広島・長崎の被爆から六十年目の昨年、原水爆禁止運動はいくつもの新たな到達点をつくりだしました。
核兵器廃絶の約束実行が問われた五月のNPT再検討会議では、全国で千人、日本原水協から八百人を超える代表団が参加。会議に提出した五百三万筆の署名は各国政府やNGO(非政府組織)、米国市民に大きな励ましを与えました。
八月の原水爆禁止世界大会では、政府代表を含め大会史上最大の二十七カ国、二百五十五人の海外代表と、この十年で最大の一万四千人の全国代表を迎え大きな成功をおさめました。
核兵器廃絶・平和を求める諸国民の運動は、いよいよ重要な局面に入っています。膨大な軍事力をかさに着た「力の秩序」をうち立てようとする米ブッシュ政権の企ては、すべての面で破たんし、国際的にも大きな孤立に直面しています。
問題は、小泉政権だけが「核の傘」と称して米核戦略を受け入れ、世界に誇る憲法九条まで足げにして世界に恥をさらし続けていることです。
彼らの側にあるものは一時しのぎの「ウソ」だけであり、真実と道理は私たちの側にあることを草の根で国民に徹底して知らせるべきです。
日本原水協は今年から、新しい国際署名「すみやかな核兵器の廃絶のために」を開始しました。文字通り地球的規模で核と非核、戦争と平和の力関係を変え、核兵器のない平和で公正な世界へと道を開くものです。
大会の成功を希望し、みなさんが核兵器廃絶、被爆者援護、平和のたたかいでこれまでにもまして力を発揮してくださるようお願いしてあいさつとします。