2006年1月11日(水)「しんぶん赤旗」
番組改変問題で質問状
NHK・安倍・中川氏に16団体
NHKの予算審議開始を控えて、メディアへの政治介入が繰り返されることを強く危ぐする―。
「慰安婦」問題を扱ったNHKのETV番組にたいする政治介入(二〇〇一年)が発覚して一年。アジアプレス・ネットワーク、放送を語る会、日本ジャーナリスト会議、NHK受信料支払い停止運動の会など十六団体は十日、NHK側に改めて質問状を送付。また、安倍晋三内閣官房長官と中川昭一農水相の国会事務所を訪問し、番組改変問題に関する公開質問状を手渡しました。これらの団体が、安倍、中川氏に質問状を出すのは初めてです。
安倍官房長官への質問状は、安倍氏がETV番組のどこが「偏っている報道」と考えたのか、「政治介入」を否定するのであれば、どのような事実と論拠によるのか、今後もNHKにたいして放送前に番組内容について説明を受けたり、改変を要求することがあるのか、など五点を問いただしています。
また放送前日のNHK幹部との面談が「政治介入」だった根拠として、政府の一員である官房副長官(当時)が首相官邸で会って、番組内容に立ち入った発言をしたことは、結果として政府による事前検閲とも受け取れる強い圧力をかけたことになり、憲法二一条に抵触する行為であると指摘しています。
このあと記者会見した放送を語る会の小滝一志さんは、「力を持つ側である政治家が自らを抑制することは当然なのに、安倍、中川氏にはその自覚がない」と語りました。安倍、中川事務所は、回答は自民党内のこの問題のプロジェクトチームで検討すると答えました。