2006年1月6日(金)「しんぶん赤旗」
身柄引き渡し 米側まかせ
地位協定
■解説
神奈川県横須賀市での女性会社員殺害事件で、犯行を認めた米兵の身柄引き渡しの根拠となる日米地位協定には、大きな問題があります。
地位協定一七条は、「公務外」の米兵が基地の外で犯罪をおかしても、基地内に逃げ込めば、日本側が起訴するまでは米側が身柄を確保することを規定しています。
一九九五年、沖縄での米兵による少女暴行事件で、こうした特権に国民の批判が噴出。これをきっかけに日米両政府は、同条の「運用改善」で合意しました。
しかし、その内容は、「殺人又は強姦(ごうかん)という凶悪な犯罪」に限り、日本側からの起訴前の身柄引き渡し要求に対し、米側が「好意的な考慮を払う」というものです。結局は、米側の判断任せになっています。
この合意以降、日本側は四件の米兵犯罪で、起訴前の身柄引き渡しを求めましたが、実際に米側から引き渡されたのは三件です。二〇〇二年十一月に沖縄で起きた婦女暴行未遂事件では、日本側の要求を米側は拒否しています。