2006年1月6日(金)「しんぶん赤旗」
米兵引き渡し要求
共産党、横須賀基地に抗議
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神奈川県横須賀市で起きた米空母キティホーク乗組員による日本人女性殺害事件で、日本共産党神奈川県委員会、県議団、横須賀市議団は五日、米海軍・横須賀基地に出向いて抗議し、在日米海軍司令官とキティホーク艦長あてに、犯人の日本側への身柄引き渡しを強く申し入れました。
大森猛元衆院議員、畑野君枝前参院議員、ふじたちえこ県議(同市選出)、井坂新哉横須賀市議、志位和夫委員長・衆院議員秘書の浜田文氏、笠木隆党県基地対策委員会事務局長らが参加。横須賀市原水協の大須賀寛事務局長も同行。
基地側は、当直将校が応対しましたが、いっさい返答をせず、参加者から、怒りの声があがりました。
申し入れでは「重大な犯罪で断じて許せない」と抗議し、犯人の身柄を引き渡し、日本側の捜査、裁判で厳正に処分すべきだと求めました。
申し入れ後、大森氏は「キティホークの乗組員は昨年も、東京・八王子市で小学生のひき逃げ事故を起こしたばかりで、許しがたい。身柄引き渡しを厳しく求めるとともに、こうした凶悪犯罪でさえ、日米間で犯人の身柄引き渡しが義務づけられていない現状をただしたい」と表明。畑野氏も「基地の存在が、市民の安全といのちを脅かしています。こうした問題からも、原子力空母の配備は、許されません」とのべました。
参加者は、事件があった現場も訪れ、黙とうしました。
■身柄引き渡し 米側まかせ
■地位協定
■解説
神奈川県横須賀市での女性会社員殺害事件で、犯行を認めた米兵の身柄引き渡しの根拠となる日米地位協定には、大きな問題があります。
地位協定一七条は、「公務外」の米兵が基地の外で犯罪をおかしても、基地内に逃げ込めば、日本側が起訴するまでは米側が身柄を確保することを規定しています。
一九九五年、沖縄での米兵による少女暴行事件で、こうした特権に国民の批判が噴出。これをきっかけに日米両政府は、同条の「運用改善」で合意しました。
しかし、その内容は、「殺人又は強姦(ごうかん)という凶悪な犯罪」に限り、日本側からの起訴前の身柄引き渡し要求に対し、米側が「好意的な考慮を払う」というものです。結局は、米側の判断任せになっています。
この合意以降、日本側は四件の米兵犯罪で、起訴前の身柄引き渡しを求めましたが、実際に米側から引き渡されたのは三件です。二〇〇二年十一月に沖縄で起きた婦女暴行未遂事件では、日本側の要求を米側は拒否しています。