2006年1月1日(日)「しんぶん赤旗」
崩れる米国「有志連合」
イラク撤退16カ国
派兵人員削減も次つぎ
イラク国民議会選挙が行われた昨年十二月、ブルガリア、ウクライナなど、イラク駐留外国軍部隊の撤退が相次ぎました。米国に追随する「有志連合」の崩壊が加速しています。
■大部隊も削減方針
米国を含め最大時三十九カ国で構成されていた「有志連合」のうち撤退国は十六カ国となりました(別表)。駐留を続ける国も米英を除き、その規模は数十人、数百人がほとんど。韓国、ポーランド、イタリアなど比較的大きな部隊を駐留させている国も今後の削減を明らかにしています。
ウクライナ、ブルガリア両国防省の発表によると、両国のイラク駐留軍は昨年十二月二十七日、撤退を完了しました。ブルガリアは同国駐在の米大使が圧力を加えたにもかかわらず、昨年三月末、年内撤退を閣議決定しました。
ウクライナは昨年一月、国会が早期撤退を決議。これを受けた形で同月に誕生したユーシェンコ政権が段階的撤退による年内撤退を四月に決定しました。約千六百五十人の撤退規模は一昨年撤退したスペインの千四百人を上回ります。ただ、今後約五十人の軍事顧問がイラク軍の訓練に当たります。
韓国は国会が昨年十二月三十日、韓国軍のイラク駐留一年延長を決めましたが、三千七百人の部隊を二千三百人に削減することも決定しました。
ポーランド政府もカチンスキ大統領が同月二十九日、駐留を一年間延長する一方、その規模を今年三月に約千五百人から九百人に縮小し、主要任務をイラク軍の訓練、助言にするとの方針を承認しました。
■米国内も撤退の声
イタリアは昨年十二月十五日、今月中にイラクから三百人の兵士を撤収させ、二千九百人から二千六百人にすると発表しています。昨年九月の三百人撤退に続くものです。
米国内でもイラクでの米兵の死者が二千百人以上になるなか、イラク撤退を求める世論が高まり、米議会は昨年十一月、「段階的な撤退」開始の条件をつくることを求める決議を採択しました。
ブッシュ大統領は撤退をかたくなに拒否していますが、昨年十二月十八日には、開戦理由としたイラクの大量破壊兵器保有についての「情報の大半は間違いだと判明した」「私の決定のいくつかが恐るべき損失をもたらしたことを知っている」と述べざるを得ない状況に追い込まれています。その後、米国防総省は今年春までに七千人を削減する方針を明らかにしました。
英国でもブレア首相が国内の強い世論に押され、昨年十二月二十二日、イラク南部バスラを訪れた際、今年五月にも英駐留軍を撤退させると示唆しました。