2005年12月31日(土)「しんぶん赤旗」
主張
サッカーくじ
終了のホイッスル鳴らそう
サッカーくじは、その意思さえあれば、いつでも中止・廃止ができる時期に入りました。
この制度を導入した法律は、「施行後七年を経過した場合においては、…制度のあり方について見直しを行うものとする」としています。一九九八年の施行から、ちょうど七年が過ぎました。
サッカーくじの導入でわが国のスポーツ振興は大きくゆがみ、新たな障害がもたらされ、最悪の制度となりました。
深刻なのは、自治体やスポーツ団体が取り組んできたスポーツ振興事業が、ずたずたに切り裂かれてしまったことです。
■スポーツ振興に財源なし
「スポーツ振興の財源確保」が目的のサッカーくじでしたが、収益金からの助成金を数百億円とする目算は早々からはずれ、いまでは助成金のねん出さえままならず、破たんにひんしています。
これによって、多くの自治体やスポーツ団体がほんろうされ、助成金を当てにしたスポーツ振興事業が中止・廃止となる例が生まれました。
しかも、国のスポーツ予算は導入前に比べて百億円近くも減らされました。結局、サッカーくじは国の予算カットの口実になったうえに、「スポーツ振興に財源なし」という深刻な事態をつくりだしたのです。
この七年間、青少年の生活環境をギャンブルで汚染する状況が際限なく拡大されてきました。
サッカーくじ法の国会審議で、「当面、コンビニエンスストアでは販売しない」とした確認事項は、実施後わずか二年で踏みにじられてしまいました。さらに、十九歳未満への購入防止で「対面販売を原則とする」とした規制も、インターネット販売に踏み切ったことで歯止めがなくなりかねません。
しかも、当せん確率は当初の百六十万分の一から、新たに売り出された「toto5」は二百四十三分の一と跳ね上がっています。あれほど「ギャンブルではなく宝くじ並み」と言っていたのが、射幸心をあおるものに大きく変ぼうしています。
これでは、青少年がサッカーくじを買おうと思えば手軽に買えることになり、子どもたちをギャンブルに巻き込むおそれは広がるばかりです。法律破りの状況を文科省が胴元になって率先して進めているのですから、言語道断な話です。
その上に、運営面も大幅な赤字経営が続き、負債総額は二百二十四億円あまりにのぼっています。にもかかわらず、返済の見通しのないままに委託事業から直営方式に切り替え、設備投資として新たに二百億円相当を国民の税金からつぎ込むのですから、あきれ返ってしまいます。
スポーツ振興をゆがめ、ギャンブルを振りまき、あげくの果ては負債と赤字のツケは国民に押し付ける――サッカーくじ制度は、社会の弊害以外のなにものでもありません。
■存続固執は無責任
サッカーくじはただちに中止し廃止するしかありません。それをまじめな見直しもせずに、存続だけに固執している自民党政府や文科省の姿勢は、無責任の度が過ぎます。
もともと国民多数が反対したにもかかわらず、政府は、その意思を無視してサッカーくじを導入しました。見直しの時期を迎え、ロスタイムに入ったいま、スポーツ振興の財源のあり方を本筋に戻すためにも、「サッカーくじは終了」のホイッスルを吹き鳴らそうではありませんか。