2005年12月30日(金)「しんぶん赤旗」
障害児学級生徒ら地下鉄ミニツアー
運転士との交流実る
東京
二十九日、東京・足立区立第七中学校・障害児学級の生徒八人と保護者らが、三年前から太鼓を通じて交流してきた森沢清彦さん(58)の運転する地下鉄・都営浅草線でミニツアーを楽しみました。午前十一時五十六分押上駅(墨田区)発。終点西馬込駅(大田区)着まで片道三十三分、十八・七キロメートルの旅です。運転士歴二十七年の森沢さんは和太鼓や獅子舞のサークル「和楽太鼓」の会長でもあります。障害児学級の担任・大坪匡代さんが「生徒たちに太鼓を教えたい」とサークルに所属していたことから、森沢さんとの出会いが生まれました。
足立区の「和太鼓フェスタ」でのこと。「和楽太鼓はかっこいい」と子どもたち。生徒たちの踊るロックソーランに「子どもたちの元気な踊りに感動した。教えてほしい」と森沢さん。三年前から、互いに太鼓などの演技を披露しあう「ワーィ春だ! ダンダダン」を続けてきました。
森沢さんが運転士だと生徒が知ったのは今年十月。「ホントーウソでしょ」「ぼくの運転する地下鉄にのるか」。冬休みのこの日、その願いが実現することに。
とりわけ熱心だったのが、電車好きの吉田貴君(中三)です。「どうしても森沢さんが運転する電車にのりたいと楽しみにしてきたんです」と貴君のお母さん。
押上駅のホームに現れた森沢さんは制服姿で敬礼。生徒たちにタオルや筆箱など地下鉄グッズをプレゼントしました。「いつも(はっぴ姿)の森沢さんもかっこいいけれど、今日はもっとかっこいい」と新川逸美さん(中三)。運転席と客席の間の窓のブラインドを特別にあけてもらって、運転ぶりを興味津々でのぞきました。
運転席を降りた森沢さんに「オーバーランしなかったよ」と貴君。生徒と腕をくみながら「みんなが見てて緊張しっぱなしだった」と森沢さん。
「正月休みもありませんが、とても楽しい交流で生徒から元気をもらった」といいます。