2005年12月29日(木)「しんぶん赤旗」

高値受注へ新方式画策

大手ゼネコンが独禁法逃れ

1月の 談合罰則強化を前に


 入札談合にたいする罰則を強化した改正独占禁止法の施行(一月四日)を前に大手ゼネコンが、独禁法をのがれて引き続き高値受注もできる入札方式を拡大しようとしていることが二十八日、本紙の取材で分かりました。これにより談合がなくなったとしても、公共工事によるゼネコンが大もうけする構図は是正されないことになります。


 複数のゼネコン幹部によると、鹿島建設、大成建設、清水建設、大林組など大手ゼネコンの間で改正独禁法について非公式に協議がはじまったのは十一月ごろ。十二月には、東京都内で開かれた大手ゼネコン四、五社の首脳らによる会合で、“独禁法違反行為はおこなわない”旨をあえて「確認」した、といいます。本紙が入手した大手ゼネコンの内部文書では、改正独禁法が適用された場合、「事業の継続にも大打撃を与えるほど厳しいもの」になると危機感を表明しています。

 この動きについて大手ゼネコンの営業幹部は「ゼネコン汚職事件後も、談合担当者の配置がえなどをしたが数年後には元に戻った。今回も本当に談合をやめるかは疑問だが、改正独禁法の罰則強化で新たな対応が必要になってきたのは間違いない」と話します。

 一般競争入札では談合をやめると高値受注は難しくなります。しかし、価格競争ではなく、「技術評価」もくわえた「総合評価方式」や、予定価格を設定せず、設計・施工を一括して発注する方式などを使えば、大手ゼネコンが圧倒的に有利となる入札方式になります。このため、日本建設業団体連合会などゼネコンが加盟する業界三団体は、昨年九月にこうした入札方式を推進する提言を出すなど政府に強く働きかけてきました。今年十二月の会見で日建連の梅田貞夫会長は、「これ(改正独禁法施行)によって、入札契約制度を変える必要が出てくる」とのべました。

 設計・施工一括発注方式の典型といわれるのが、三月に国土交通省が入札した羽田空港再拡張事業。入札には、鹿島、大成、清水、大林組など大手ゼネコンを中心とするグループだけが参加、約六千億円(消費税込み)で落札しています。

 同工事にかかわった別の大手ゼネコン幹部は「独禁法の罰則強化と入札制度改革は一体だと思っている。羽田空港工事では、受注後、各工区割りについて各社で話し合ったが、これは談合にはならない。今後、このような入札方式を拡大していくのがカギとなっている」と語っています。

 総合評価方式や設計・施工一括発注方式などを推進する「公共工事の品質確保の促進に関する法律」は三月末、自民、公明、民主、社民の各党の賛成で成立。日本共産党は反対しました。

 ▼改正独占禁止法 談合などにたいし公正取引委員会が納付を命ずる課徴金は、談合などで受注した契約金額の6%(大企業)から10%(同)に引き上げられます。違反を繰り返した企業には、課徴金算を五割増しとする制度も新たに導入しました。

 改正後でも日本の課徴金は、欧米に比べて低い現状があります。


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