2005年12月24日(土)「しんぶん赤旗」

建築確認は民間に

神戸市が文書で推奨

4年間で44%から99%に


 確認申請は極力民間に――。建物の建築確認をめぐって神戸市が文書で、民間機関の利用を推奨していたことが二十三日までに明らかになりました。その結果、同市の民間利用度は二〇〇四年度には99%へと激増。他の政令指定都市でも同じ傾向が強まっています。建築基準法改悪(一九九八年)で、民間に建築確認・検査が丸投げされた結果、行政の検査が大後退していることを示すものとして注目されます。


■行政チェック大後退

 問題の文書は「建築物の確認検査の民間機関利用について(お願い)」。

 建築確認の民間開放が可能になった建築基準法を改悪した二年後の二〇〇〇年八月二十五日、自公民市政の神戸市建築部長が建築確認申請者あてに出したもの。

 文書は「今後確認検査業務につきましては順次民間機関へお願いし、市は違反是正指導、建築紛争未然防止、細街路整備促進等などの強化・拡充を図る」としたうえ、確認申請や検査申請については「極力民間機関へ申請いただきますようお願いします」と明記しています。

 神戸市による二〇〇〇年度の建築確認件数は三千五百九十四件でした。しかし「お願い」後、〇四年度には六十九件へと激減。一方、民間機関による確認件数は二〇〇〇年度二千八百六十九件(44%)だったのが、〇四年度には五千九百七十一件(99%)と激増。行政の建築確認はわずか1%にまで落ちました。

 これにともなって神戸市では二〇〇〇年度には十一人いた建築主事も〇四年度には五人と半減。審査体制が弱体化しました。

 京都市でも市の担当者によると、「民間に開放された直後から民間機関に検査をしてもらうよう誘導」したといいます。〇四年度の建築確認は市が二百二十八件、民間が七千七百八十四件と民間が97%を占めるまでになっています。

 他の政令指定都市でも、仙台、さいたま、千葉、名古屋、大阪、北九州市で70%を超える民間依存率となっています。民間による建築確認の全国平均は約56%ですが、政令指定都市の突出した民間依存ぶりが目立ちます。

 建築基準法改悪で、建築確認・検査が民間開放されましたが、最終責任は「地方自治体にある」(最高裁判決)とされています。しかし、民間検査機関の建築確認は四ページ程度の簡単な報告が自治体に提出されるだけで、設計図さえ添付されません。自治体が責任を負えない仕組みの民間の建築確認が都市部でこれほど激増している実態は、現在の制度の深刻な問題点を示しています。


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